「ちくしょ〜」

これで157枚目Tシャツを洗濯糸にかけて私は悪態をついた。こんだけTシャツあってどうすんだよ。某洗剤のCMでもやるつもりかよ。かれこれ三時間は洗濯物を干したり洗濯機を回したりの繰り返しである。さっきこちらの様子を見に来たヘタ野郎の勝ち誇った顔が気に入らねえ。

「ちょ、なんか洗濯機から泡ふきだしてんぞ!?」

「うお、本当だな。これはやべえぜ」

遠くから聞こえた声に驚いて洗濯場に駆け込む。床一面があわあわになってしまっている。あー、もうどこで間違えたんだろう。私は頭を抱えた。

「おいおい、しっかりしろよ鬼さんよぉ」

「うるさい、どっかいけ」

男達はゲラゲラと馬鹿にしたように笑ってでていった。ついでに、近くのモップを足で蹴ることも忘れず。本当にむかつく。だから嫌なのよ、海賊も、男も。いつでも人を上か下かでしか見られないんだから。
洗濯機を止めて、あわに埋まっていたモップで床をふく。全く終わりが見えそうもない。掃除も洗濯も。自然にため息をついていた。何でこんなことになってしまったんだろう。

「手伝ってやってもいいんだぜ、お前が頼めばな」

後ろを見ればヘタポケモンが偉そうに壁に寄りかかりながら腕を組んでいた。でも、足元はなるべく濡れないようにプルプルしながら爪先立ちしていた。私は思った。お前、手伝う気もとからねえだろ。しかし、表情を見ればさっきの男達みたいに冷やかしをするつもりではないらしい。真剣な面持ちでこちらを見ている。

「結構です」

「あ?お前いつまで強がってるつもりだよ」

「あんたには関係ない」

「お前いつまでそうしてる気だよ。男が嫌いなのは分かったが、世の中の男全員がお前の思ってるような奴だと思ったら違うんだぜ」

「どうかしら。例えそうだとしても、あんたが、その違う男だとは思えないわね」

チッと舌打ちの声がしてヘタ野郎は去っていった。べつに、悪いだなんて思わない。思うくらいなら初めから言わないもの。だから、気にしてない、なんにも。私はまた床一面のあわとの格闘を再開した。

ずっと、そうして生きてきたんだもの、そう簡単に考えは変わるものじゃない。
20131224
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