* 本番はないですが下品な表現あります
場地、ちょっと聞きたい事あるんだけど
俺の幼馴染はそう言うと、俺の返答も聞かずに部屋の襖を勢いよく開けた。襖はスパンと小気味の良い音がして開いた。俺は突然のことに呆気に取られてナマエを見上げた。見上げているのは部屋で寝転びながら猫と遊んでいたせいだ。先程まで俺の腹で寛いでいた猫は驚いて窓から飛び降りて行ってしまった。ナマエのスカートからは黒いパンツが見える。
「エッチ」
「お前のパンツなんて見えても嬉しくねーよ。それより何だよ急に」
「場地ってドーテー?」
「はぁ?」
ナマエが真顔で俺を見下ろしている。その顔からは少しも恥じらいが感じられなくて、本当に年頃の女なのかと疑いたくなる。
「早く答えて」
「何でお前にそんな事答えなくちゃいけねーんだよ」
「ってことはドーテーか。チッ」
そう言うとナマエはおもむろに俺の部屋に入って胡座を描き始めた。短いスカートから白く柔らかそうな太ももが覗く。仕草は完全に男だが、身体から女性らしい部分が見えて俺は咄嗟に視線を逸らした。
そもそも、突然来てコイツは何を言い出すんだ。昔から破天荒で読めなくてマイキーを女にしたみたいな奴だ。
「まだ答えてねぇだろ。それより何なんだよ急に変なこと聞いてきて」
「母さんが私に次問題起こしたら巫女にさせて素行を強制させるって言ってんだよ。有り得なくね?」
「お前、またなんか暴れたのか。あんまりお袋さん悲しませることするなよ」
「アンタに言われたく無いんだけど」
ナマエがギロッとこっちを睨む。さっきパンツが見えたせいでちっとも怖くわないし、イラッとだけした。
「それがどうさっきの話と繋がんだよ」
「いや、友達から聞いたんだけどさ。巫女って処女しかなれないんだって」
女らしからぬ発言に俺は咄嗟にナマエの頭を叩いた。
「何だよ!痛いじゃん!」
「それで?」
「だーかーらー!処女じゃなくなれば巫女になれなくなると思ったのよ。それで場地にセッ」
俺はこれ以上聞くと頭が痛くなるとナマエの口を手で塞いだ。
「お前本当に馬鹿じゃねぇの?」
「は?何。手っ取り早い解決策がこれじゃん」
「俺が言いたいのは、もっとテメェの身体大事にしろってことだ」
「だから、痛いのは嫌だから経験者だと良いなと思って聞いてるんだよ。痛いの怖いし」
「そーゆー問題じゃないんだよ。馬鹿か?お前は」
つくづく話が通じなくてイライラする。同時にコイツは初めての行為に対して何とも思わねえのかという呆れもでてきた。普通であれば大切に取っておくもんだろう。それをコイツは巫女になりたくないって理由で幼馴染に頼んでくるなんて心底馬鹿らしい。そして、そんな女が好きな自分もつくづく馬鹿らしいと思えてきた。
「はぁ、じゃあもう良いよ。マイキーに聞くもん」
「は!?ちょ、待て」
脳裏でマイキーの「いいよ、貰ってあげる」とにやにや笑う姿が想像できて焦った。アイツは俺が好きだろうが何だろうが関係なくナマエを抱くだろう。むしろ、それをネタに俺を揶揄ってきそうな気さえする。
俺は咄嗟にナマエの腕を掴んで引っ張った。ナマエが俺の力に耐えられず畳に倒れ込む。昔は対等だった力も今は呆気なく俺が勝つようになってしまった。
「痛ったァ、何すんの場地」
痛みのせいか涙目のナマエが俺を見上げる。スカートがずり上がってパンツが見えるか見えないかのギリギリで隠されている。俺はそれにムラッと来てナマエに覆い被さった。
どうせ他の奴に取られるくらいなら、俺が奪ってやる。好きな奴の事は大切にしようと思ってたけど、本人が望まないなら、真面目ぶんのはもう辞めだ。
「望み通り卒業させてやるよ」
俺は太ももに手を這わせる。夏の暑さのせいか肌はじんわりと汗を描いていた。ナマエは柄にもなく赤い顔で此方を見ていた。俺は優越感に顔のにやけが抑えられなくなる。
ナマエのボタンをひとつずつ外して、ピンクの唇にキスを落とす。柔らかい感触が気持ちよくて、何度も何度も唇を重ねた。
「おい、口開けろ」
「ちょ、ちょっと待って」
「待たねえよ。煽ったのはお前だろ。好きでもない男とやるなんて馬鹿じゃねぇの?ヤられながら反省してろや」
黒いレースのブラジャーからふっくらとした胸が覗く、俺は乱暴に胸を揉みしだいた。目の前の女は顔を赤くして涙目で見上げてくる。罪悪感が湧かないことも無いが悪いのは全部コイツだ。
「……言ってない」
ボソボソとナマエが何かを喋る。俺に対する何かの文句だろう。こいつはいっつもそうだ。後になって「やっぱ違う」だの「気分が変わった」だの反対の事を言う。俺は、いつもそれに振り回されっぱなしだ。それも今日で終わり。これを機に俺たちの関係も終わるのかもしれない。
「聞こえねえよ。文句があるならもっと大きい声で喋れ」
「好きじゃないなんて言ってない!!」
その言葉に俺の目は落としそうになるんじゃないかと思うほど大きく見開かれたと思う。今、コイツ、なんつった?
「好きだから、場地のとこに来たにきまってんじゃん。馬鹿じゃないの」
「はぁ?」
「場地もそうだと思ったのに、違うんだ?」
ムッとした顔でナマエが俺を睨んでくる。いつもだとイラッとする彼女の表情も今は全てが可愛く感じた。
「言葉が足りねぇんだよ。俺も好きに決まってんだろうが、馬鹿」
俺はもう一度唇を重ねた。先程よりも気分はずっと良い。ナマエの女になった身体を抱きながら俺は彼女の耳元に口を寄せた。
「他の男じゃ満足出来ないくらい、イかしてやるよ」
20210614