本当にもう心がささくれて死んでしまいそう。

瞳からは流したくもない涙が勝手にでてきてはぽろぽろと頬に落ちる。喉から嗚咽がもれてきて情けなくひっくひっくとしゃくりあげた。つかれた。他人にも自分にも。どうすればアタシは救われるの?努力がまだまだ足りないってことかしら。もっとがんばりたいとは思うけどがんばる力が残ってないみたい。

「どうしたの、ナマエ」

教室の角のいちばん小さな小さな小窓から見たことのある顔がこちらをのぞいている。涙を止めようとローブの裾でごしごしと擦るのにすこしも変化はなかった。

「ナマエ」

いつもは悪戯ばかりしているあの子がアタシの顔を見て悲しそうに顔を歪める。鼻のてっぺんにはまた何処かで悪さをしてきたのかすすがついて黒くなっている。

「ナマエ、きて、こっちに、はやく」

もじゃもじゃ頭がサッシの奥でぴょこぴょこと跳ねる。柔らかな髪からぴょこぴょこ動くごとにイチョウの葉が落ちた。それが奇妙でアタシは目が離せなかった。

「いやだよ、顔、ぐしゃぐしゃになってるもの」

いやいやと首をふるともじゃもじゃ頭はサッシに捕まって身を乗り出してきた。眼鏡の奥の瞳とかちりと目が合う。アタシは咄嗟に手で顔をおおった。

「もう見ちゃったし」

「いやなものはいやなの」

「いいからいいから」

そばにあった鳥のはねがふわふわと浮いてアタシの耳を擽った。驚いて手をはなすと、窓の奥からきゃらきゃらとした笑い声が聞こえた。

「ジェームズ!」

今度はアタシが窓から身を乗り出す。すると視界にはジェームズの顔がすぐそばにあって唇とまぶたがやさしくぶつかった。一瞬時が止まって、すぐに我にかえる。窓から飛び退いてぺたりと床に座った。

「ねえ、ナマエ」

もう一度窓にもじゃもじゃ頭が乗り出す。にやりと笑いながら。

「馬鹿にしてるのね」

「とんでもない!そんなひどいやつに見える?」

「十分ね」

そんなぁと情けない声がアタシの耳に届く。一体彼は何がしたいのかしら。アタシになんか構ったって少しも楽しいことないのに。イチョウが一枚教室の床に落ちた。それが余りにも静かでアタシは息をするのも忘れてしまった。アタシを見つめる瞳はいつもより優しくて戸惑ってしまう。

「元気だして」

「元気も吹っ飛んだわよ!」

アタシが大声で叫ぶと彼が顔をキョトンとさせて、そのあとにくすくすと笑いだした。アタシもそれにつられてくすくすと笑う。教室はおもちゃ箱みたいにさわがしくゆれた。

「僕は君とずっと親友さ」

アタシにはその言葉が眩しくてむずかゆくてそれでもその言葉を心の中でだきしめた。

「約束よ」

泣きっ面に鹿
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