夏休みも明け、二学期がはじまった。まあ、はじまったって言っても一学期とあんま変わらないけどね。

「ちょいちょい!かずまかずまかずま!お前、名前ちゃんと付き合ってるって本当か」

教室に入ったとたんにクラスメートの伊藤がすごい勢いで僕の肩をつかむ。なんか、ちょっとうざいんだけど。

「うん。付き合ってるよ」

僕が肩に乗っている手をどけながら言うと、伊藤が今度は頭を抱えながら絶叫しだした。

「くそー!!俺も狙ってたのにぃいいぃい」

なんて忙しいやつだ。

「で、いつからいつから?」

「8月の初めくらい」

「ちくしょー!じゃあ一緒に夏休みをエンジョイしたってわけか羨ましいぜ!!」

「おっさん二人もいたけどね」

僕は夏休みを振り替える。何処に行くときもおっさん二人が現れたり、小さい子の面倒を任せたられたり、散々だった。侘助さんにいたっては理一さんより質が悪い。こっちに帰ってからもお互い忙しくてまだ二人きりで会ってないし。

「はぁ」

「何だよ。幸せのため息かコノヤロー」

「まぁね」

僕がにやりと笑うと伊藤がぽかーんとしたあと声をあげて笑った。

「てゆーか、どういう経緯で付き合ったんだよ」

「何で伊藤に教えなくちゃいけないの。秘密」

「はぁあぁああ?!」


□□□



「まさかね、休みの間にね」

「はい」

「羨ましいわ〜」

my友人が目を細めて私を見る。な、なんかいたたまれない。

「あ、ほら旦那さんが来たわよ」

「え」

振り替えると伊藤くんにちょっかいかけられてちょっと赤い顔したかずまくんが私のほうに歩いてきていた。

「ああ!どうしよう!」

「知らないわよ」

そうこうしている間にかずまくんが私のそばへきた。

「名前」

「は、はい」

「今日一緒に帰ろ」

「は、はい」

かずまくんがふっと笑って私のほっぺたをひっぱった。

「いででで!」

「何緊張してんの」

楽しそうに笑うかずまくんにつられて私の頬も自然とゆるんだ。

「よろしくね。いけざわ、かずまくん」
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