ガツガツとまるで効果音がつきそうな程、テーブルの上のご飯はあっという間になくなっていく。

「すごい」

「ほら、圧倒されてないで名前も食べて」

目の前に差し出された肉じゃがをパクっと食べると差し出した本人のかずまくんと目が合って、同時に反らした。

「あんたたち!テーブルでいちゃいちゃするんじゃないわよ」

「そうよ!テーブルで」

「落ち着け二人とも」

テーブルから身を乗り出す直美さんと里香さんを理一さんがひたすら宥めていた。かずまくんは素知らぬ顔でご飯を食べている。なんか……面目ないです……


□□□



「侘助さん、おかえりなさい」

私が侘助さんの隣に腰をおろしながら言うと、シシシッといつもの笑い声が聞こえた。

「風邪は治ったのか。倒れたお前を四度も布団に戻すのはいやだぜ」

私はその言葉で今までのことを思い出す。初めは泣きじゃくって倒れて運んでもらって。もう一回は熱で倒れた私も運んでくれて、引き留めてて倒れたときも運んでくれたんだ。てゆーか、私、倒れてばっかだ!

「!、そ、それはですねぇ」

「べつに、気にしちゃいないけどな」

驚いて侘助さんを見るとにやりと笑ってノートパソコンのキーボードを叩いていた。

「そうですよね。侘助さん優しいから何だかんだ布団まで運んでってくれますもんね」

「ハッよく言うぜ」

カタカタと機械的な音が私の耳に静かに届く、迷いなく打たれていくそのキーボードに侘助さんは本当に頭が良いんだなぁと思った。

「あっちいかなくていいのか」

侘助さんが目でかずまくんや夏希さんたちのほうを見る。

「運んでもらったお礼に助手をしようと思いまして。こう見えて、私、技術は5ですよ!」

「お前に機械任せたら壊れそうだから駄目」

そ、そんなハッキリ言わなくても!
侘助さんが困ったように微笑んで私を見た。

「じゃあ、まず初めにお茶でも頼むわ」

「!、はい!」

今日ほどおいしいお茶を淹れたいって思った日はないだろうなぁ。


「あ、やっぱ珈琲で」
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