「ふー」
汗をぬぐって縁側へ歩くと名前がちょこんとはしっこのほうにいた。なんでここにいるの。見られてたとか、ちょっと恥ずかしいんだけど。しかも、何で着替えとタオル持ってんの。母さんに頼んだのに。……母さんか!母さんが着替えとタオル持たせたのか。余計なこと言ってたら絶対許さない。てゆーか、その前になんで名前はあんな不安そうな顔してんの。なんか可愛いんだけど。それがまたむかつくんだけど。
「あ!おつかりっれ!」
今のとこで噛む要素が分かんないんだけど。ありがとうって言ってタオルを奪うと前から視線を感じた。
「なに」
「かずまくんも」
「うん」
「戦うの?」
だからもう何その不安そうな顔。本当に反則なんだけど。
「教えない」
僕がそう言うと名前は衝撃をうけたような顔をした。本当に分かりやすいよ。
「私はかずまくんに勝手についてくからね!」
「は、」
予想外の言葉に僕はすっとんきょうな声をあげる。我ながらカッコ悪。
「だ、だから!私だけかやのそと!みたいな感じにしないでね」
自然に笑いがこぼれた。名前があまりにも不細工な顔でこっちを見るからタオルを顔面になげた。そのまま着替えを奪う。
「ちょっとかずまくん!」
「何」
「なんでこうゆう」
「僕、今から着替えたいんだけど」
そういうと名前は顔を真っ赤にさせて、走っていった。
もう、八月がきた。
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