「私みそしるつくります」
「何いってんの!まだ病み上がりなんだから大人しくしてなさい」
「いや、やらせてくだ」「はいはい、部屋に戻って!」
おばさんの優しい言葉により、私は休ませてもらうことになりました。あれ……まだここに来て一度もまともなお手伝いしてない気がする……。
私は畳に寝転がって天井をあおいだ。じんわりと視界がゆるむ。私が悲しくなってどうする。きっと、夏希さんやかずまくんはもっともっと悲しいんだ。
「ねえ、」
「!」
びっくりして起き上がるとかずまくんがふふっと笑って私の前に膝をついた。なんだか恥ずかしくなって私は目を反らす。すると、優しく髪を撫でられた。
「かずま、くん?」
「寝癖、ついてたから」
「え!うそ!?」
「うそ」
私が呆気にとられた顔をすると、かずまくんは満足そうに笑った。胸の奥がむずむずして熱い。深呼吸して息を整えたのもつかの間、かずまくんが私の首に抱きついた。心臓がどくんどくんして、引き剥がそうと腕を動かしたけど、私を抱きしめる両腕が震えてることに気づいて、背中へまわした。
「あったかいね」
私からでた言葉は湯気みたいに蒸発して空気になった。
しばらくして、かずまくんが「もういいよ」と言って2人ははなれた。目がかちあって、また目を逸らすと顔を両手でつかまれた。
「なにす、」
一瞬だけ、2人の距離は重なって、唇に優しい感触とさっきより真っ赤なかずまくんの顔があった。
「昨日のつづき」
照れて目を逸らすかずまくんが可笑しくて笑うと「にやけるな、気持ち悪い」と頭突きをされた。かたい!いしあたまだなあ…
「かずまくん、かずまくん、私の胸はいつでも空いてるから寂しいときはおいで」
「名前のバカ」
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