「おばあちゃん、この人がお手伝いにきてくれた名字名前」

かずまくんはおもむろに襖を開けてサラっと紹介した。ち、ちょっと!私にも心の準備というものが…。そんなこと思ってるうちにおばあちゃんがこちらを向いた。

「かずまか。私は理一の後輩の妹と聞いたが…」

「ん、たまたま同級生だったから連れてきた」

「そうか」

そういうとおばあちゃんは優しい笑顔をした。

「よく来たね。名古屋から大変だったろう」

「あ、だっじゃぶです」
しまった!また、噛んだ!私がガチガチに緊張しているとかずまくんが背中にポンッと手を置いた。驚いて振り返ると「何」と真顔なかずまくんがいて。なんだか、すごく安心した。

「そうかい。それは、安心したよ」

「はい」

今度はちゃんとおばあちゃんの目をみて言うことができた。かずまくんに感謝!

「それと、二人は友達かい?それとも」

「友達だよ」

当たり前のようにかずまくんが答える。なんでかな、少し胸がズキンってした。おばあちゃんの方を見ると優しく微笑んでいて、私も情けなく微笑んだ。

「そうかい。仲良くしてあげてね、名前さん」

「い、いえ!そんなこちらこそ」

ハッハッと笑うおばあちゃんは元気そうで、私も元気がみなぎってくる気がした。

「まあ、ゆっくりしていきなさいな。それと、かずまはちょっと残ってくれるかい」

「うん。名前はさっきの部屋に戻ってて」

「分かった」






なんだかな、変な感じ。胸騒ぎ?緊張?どれも違う。でも、なんだか胸の辺りがモヤモヤして気持ち悪かった。

「って、ここどこ」

考え込んでいたせいか、知らないとこまで歩いてきてしまった。迷うくらい広いなんてすごいなと私は感嘆しつつも焦ってきた。どうしよう、かずまくん……どこにいるの。キョロキョロと見渡していると不意に肩を叩かれた。

「かずまく、…あ、ごめんなさい」

私の肩を叩いたのは、さっき玄関の近くにいた体格の良いお兄さんだった。ちょっと怖いけど、この人に聞こうかな…。

「あの…私…」

「君が名前ちゃん?似てるなぁー」

「え?へ?」

「ああ、ごめんごめん。俺が陣内理一。名前ちゃんのお兄さんの先輩だよ」

「あ!兄がいつもお世話になっています!」

ペコリと頭を下げると理一さんは笑って私の頭をガシガシと撫ではじめた。正直、頭がガクンガクンします。

「性格は全く似てないな」

「はぁ、まあ」

「そうだ、どうせだからここらへんを案内するよ。おいで」

「え、ちょっ」

言い終える前に腕を引っ張られていて。ああ、この人すごく強引。なるほど、私の兄貴と気が合うのも頷ける。引っ張られた腕は今にも脱臼してしまうんじゃないかという勢いだった。
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