「やだ、フレディ。また身長伸びてきたんじゃない?」

「え?そうかな…」


ねえちゃんが村で暮らすようになって、一年が経とうとしていた。
近くの森へ散歩に行く途中、レナは隣を歩きながら不満そうに俺を見つめてくる。
確かに、あれから身長は少しだが伸びていて、以前よりはレナに近付いた。

「あ〜あ、私の方がお姉さんなのになぁ。もう少ししたら可愛いフレディは居なくなってしまうのね」

寂しげに言うものだから、立ち止まって彼女の両手を握り締めた。

「ねえちゃんは、大きくなった俺は嫌い?」

琥珀の瞳が揺れて、頭が左右に大きく振られる。

「そんなことないわ!私はフレディが大好きだもの!」

「…よかった」


まだ、ねえちゃんの『大好き』が、俺の『好き』とは違うことは確かだ。
最近まで雛鳥だった彼女は、中身もまだ幼い。
俺は『可愛い弟』くらいにしか思われてなくて。


「大好きよ、フレディ」


そう言って、ぎゅっと胸に抱き締める癖も、正直俺にとっては堪らないものがある。

彼女の胸にある、柔らかな二つの膨らみ。

今までに感じたことのない柔らかさは、自分の中の何かを恍惚とさせる。

最近は、それに酔いしれることが多く、触れようと伸びる手を抑えるのに必死だ。


「…いい匂い」

「なあに?何か言った?」

「なぁんでもなーい」


子供っぽく言ってから、レナへと更に強く抱きついた。
彼女がこの想いに気付かないうちに、思い切り甘えてしまおう。
もう少しすれば、『子供』では通用しなくなるのだから。


そうして、柔らかな胸に頬擦りをした。