HELLO HELLO!!


たった今切ったばかりの携帯を握り締めたまま、俺はその場にただただ立ち尽くす。

我が心を満たすのは、後悔の念だ。

時間が巻き戻せたら――なんて、決して叶うはずなんてないことをつい、願ってしまう。
5分前の、他愛ない話をしていた二人に戻せたらって…。

あんなこと、言うつもりじゃなかった。
ただその声が聴きたくて、ただあいつと話がしたくて…。
なのに、どうしてなんだろう。
この口を吐いて出るのは、想いとは裏腹な意地悪な言葉たち。
俺は何時だって、あいつの瞳を曇らせてばかりいる。

心はこんなにも、あいつへの想いで溢れているっていうのに。
こんなにもあいつが大切なのに。


…もう一度。
俺から、電話をかけるから。
お願いだ。
どうか、ベルが7回鳴るまでに、俺の電話に出て欲しい。
ちゃんと、伝えるから。
意地を張らずに、素直に、ごめん、と。

だから、早く電話に出て欲しい。
早くその声を、俺に聴かせてくれ。

次こそ雪男に、謝れそうな気がするんだ。


HELLO HELLO!!

「もしもし、奥村…」
「………俺」
「あ、もしかして、兄さん?」
「…さっきは流石に、俺も言い…」
「丁度、良かった。僕も兄さんに掛けようと思ってたんだ。それで僕思ったんだけど、クロにはちゃんとした躾が――」
「……」
「兄さん、聞いてる?」
「………」
「兄さんってば」
「…でだよ」
「え?」
「何でお前はいつも何処ぞの親みたいな、堅苦しい話ばっかり」
「何でって…」
「ったく、折角、勇気を出して、俺から謝ろうと思ってたのに。これじゃ、全部台なしだろうが」
「え?そうだったの?じゃあ、今の話はナシで…」
「もう遅いわ、ホクロ眼鏡ッ!!」


(20110524)


……………
折角、勇気を出して自分から謝ろうとしたのにね…。
お兄さん、残念(笑)


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