「い〜ざあ〜やぁ〜くぅ〜ん?」
「なーに、静ちゃん?」
「てめえ、その手に持ってるモンはなんだァ?」
「何だと思う?」

 嫌な笑みを浮かべるノミ蟲の手にあるのは、俺の家の冷蔵庫に入れてあったはずのボールに入ったすりおろしたとろろいもだ。
 どうして俺の家にとろろいもがあるのか。
 少し話は逸れるが、トムさんはああ見えて以外と主婦(夫?)である。偏った食生活を送る俺にメシを作ったりしてくれる。昨日はたまたまその日で、たまたまマグロの赤身が安かった。マグロの赤身が安い。これはとても珍しいことで、たとえ大きさも形もまちまちな切り落としのマグロといえど買わない手はない。この刺身にするにはあまり見栄えの良くないマグロをいかにして食べるか、トムさんの考えた策は山かけマグロだった。結果としてそれは大成功だったわけで、すげぇ旨かった。トムさんすげぇ。
 しかし、さすがに少量のマグロを食べるために丸々一本の山いもは必要なかった。半分の山いもが売られていなかったため仕方なく一本買ったのだ。残った山いもはだしや醤油で味付けして置いて行ってくれた。俺が次の日、つまり今日食えるようにと。やっぱトムさんすげぇ。
 帰ってきて俺は有り難くそのとろろいもを食おうとキッチンに行った、ところで突然奥から飛び出してきたノミ蟲に体当たりされた。油断していたために簡単に押し倒されて簡単にマウントポジションをとられた。不法侵入の上に勝手に冷蔵庫まで物色しやがってクソノミ蟲殺す殺す殺す殺す殺す以下略。

「お腹空いたから勝手に冷蔵庫漁らせてもらったよ、ごめんねぇ」
「死ね」
「うわ、酷いな、最近ずっと俺のこと放置しといてそれはないでしょ」

 あ、補足だがめんどくさいことに俺とノミ蟲はいつの間にか恋人同士というめんどくさい関係に落ち着いている。めんどくさい。なんでだ俺。ぶっちゃけなんでそうなったのかは分からない。なんでだ俺。まあ、ノミ蟲が俺のこと好きで俺はそのことを嫌に思えなかったんだが。それってたぶん俺もノミ蟲のことす、す、すす、すっ……、ああああ!!だと思ったんだ!!

「ちょっと待て、何してんだ?」
「冷蔵庫漁ったんだけどさ、とろろオンリーだったんだよね。ご飯は炊かないとないみたいだしさあ、仕方ないから静ちゃんがご飯の代わりになってよ」
「意味わかんねえええ、やめろ脱がすな変態!」

 こいつは手際がいい。いや、良すぎる。気づいたら脱がされて流されてあああああ、今日もかよ!すげえ楽しそうな顔してるのがムカツク……!

「はーい、じゃあまずはやっぱりここから……」
「っ、冷て……っ!」

 とろり。胸の上に、いや、正確には乳首の上にとろろいもが垂らされる。左右に、少しだけ。突然の冷たさに思わずびくり、と身体をそらした。

「じゃあ、いただきまーす」
「っ、臨也、やめ、っぁ」

 あー、駄目だ。駄目なんだ。悔しいことに散々こいつに弄られた体はすぐに反応しちまう。右の乳首に吸いつかれて息を詰める。じん、と走った感覚が腰に甘く響く。痺れる。ああ、やばい。とろろいもを全部舐め取ってしまうと、また塗られて、また吸いつかれる。悔しい。

「おいしいね、これ。いい味」
「ん、…っ、ふ……っ?」

 ……あれ?なんか、変だ。さっきから右側にしか触れてもらえない。触れられてない左側がじんじんしてきた。あ、どうしよう、やばい、これ。痒い…!一度意識してしまうとなかなかそこから気をそらせない。もどかしい。どうしようどうしよう。体を捩ってもどうにもならない。触って、ほしい。
 そこでふと、目が合った。ああ、こいつ……すっげえムカツク顔してやがる……!絶対にわざとだ。知っててやってる。そうと分かったら受けて立つまでだ!
 俺が睨んだら臨也は嫌な笑みを浮かべてまた乳首にとろろいもを塗りつけてきた。今度は舐め取らないでズボンに手をかけられる。クソッ!

「あ、静ちゃん、もう反応してるよ。胸だけで。気持ちよかった?」
「死ね!」
「ほんと酷いなぁ……」

 ズボンも下着も脱がされて、反応しかかった俺をじろじろ見られる。うぜえええ。
 ……え、ちょっとまて、なぜそのタイミングでとろろいものボールを持つんだ?ああ、これはまずいかもしれない。冷汗がどっと噴き出したのが分かった。

「おい、臨也、まて……!」
「静ちゃん、ちょっと冷たいけど我慢してね」
「っひゃ」

 うわ、今変な声出た。どろり。結構な量のとろろいもが垂らされた。前から流れ落ちて太ももの内側、後ろまでとろとろと流れ落ちる。ゆっくりと温まりながら肌を伝っていく感覚にぞくぞくして身体が震えた。

「うわ……やらしいな、今ので完全に勃ったよ、静ちゃん」
「ぁ、あ…っ」

 完全に反応してしまった前を握られる。ぬるぬるだ。手が、すげえ気持ちいい。ゆっくり指先で裏筋、括れをなぞられる。尿道口もしつこく擦られた。腰がびくびく震えるのは気持ち良いから仕方ない。仕方ないんだ。
 あ、後ろ、指で触られてる。入口、ぬるぬるされて、あ、駄目だ、入って……!

「あ、ぁ、あ……っ!」
「……かわいいね、静ちゃん」

 うるせええ、でも気持ち良い。あああ、ムカツク!中にぬるぬるととろろいもを塗りこまれる。やばい、感触が堪んねえ。もっと……!
 そこでふと臨也は指の動きを止める。なんだよ、視線を向けたらまたムカツク顔。あ、指が、抜ける。

「うわ、物欲しそうな顔。もっとしてほしかった?」
「…っ、クソ、が……っ!」
「ん、おいし……」
「馬鹿、んなの舐めんな!」
「えー」

 俺の中に入ってた指をやらしく舐められる。そんなのを見て身体の中がざわざわしちまうんだから、俺も終わってると思う。
 ……あ、やばい、これは本格的にやばいかもしれない。じんじんしてきた。どうしよう、痒い。前も後ろもじんじんする。疼く。やばい……!

「い、ざや……っ!」
「どうかした?静ちゃん」
「いざや…っ」
「なに?どうしてほしいの?」

 分かってるくせに!確信犯だろ、てめえは!こいつには絶対頼みたくない。耐えてやる、耐えてやる、耐えてやる!ああ、でも……マジでどうしよう。気が、狂いそうだ……!
 俺は無我夢中で下半身に手を伸ばした。驚く臨也の前で前を握って激しく扱く。臨也、すげえ間抜け面してやがる。ざまあみろ!てめえの思い通りになんかなってやるか!後ろにも指を突っ込んで掻き回す。1本、2本、3本、指を増やす。ああ、すげえ気持ち良い。
 でも、なんでだろう、足りない。尿道口が痒いけど、引っ掻く度にびくびくと腰が跳ねてしまう。気持ち良すぎて触るのをためらってしまう。でも痒い。後ろだって掻き回す度に奥へ奥へととろろいもが流れ込んでくる。奥も疼く。でも指じゃ足りない。届かない。もっと奥までぐちゅぐちゅに掻き回したい。痒い、痒い、痒い、気が狂いそうだ!もどかしくて身体を捩っても何にも変わらない。あ、涙出てきた。ぼろぼろ溢れる。止まらねえ。おかしくなっちまう。ぼやけた視界にぼんやりと臨也がみえる。目が合った気がした。たすけて、たすけて、臨也……!

「あ、い、ざや、っぁ、ん、いざやぁ…っ」
「……っ」
「いざや、たすけて…っ、中、突っ込んで、ぁ、ぐちゃぐちゃ、に…っ、んぁ、はや、く…奥…っ!」
「静ちゃん……っ」

 かちゃかちゃとベルトのバックルを外す音が聞こえた。後ろに熱の塊が擦りつけられる。入口がいっぱいに拡げられて、一気に、奥まで、あ、あ、あ……!

「ひっ、ぁ、〜〜……っ!!」

 頭の中が真っ白になった。びりびりびり、って痺れが背中走って、頭まで来た。気づいたらイってた。尿道口を精液が勢いよく通るのがあり得ないくらい気持ち良くてイくのが止まらねえ。頭飛びそう。その上、乳首にも吸いつかれて、前もめちゃくちゃに扱かれて、後ろも大きいのでぐちゃぐちゃに掻き回される。そんないっぺんにされたら、ほんとおかしくなっちまう!気持ち良い気持ち良い気持ち良い……!

「や、ぁ、あぁ、ひ、ん…っ」
「っ、静ちゃん、どう……っ?」
「ん、いざ、やぁ…っ、ん、ぁ、もっと、もっ、と…っ、ぁ!」
「〜っ、静ちゃん、ごめん、すっごく嬉しいんだけど、心臓爆発しそうになるからちょっと黙って……!」

 ぼやけた視界の中で臨也の顔が近付いてきたのがわかった。口を塞がれる。柔らかくて熱い舌と一緒にとろりと何かが流れ込んできた、とろろいもだ。


うむ、実に美味なり


 ああ、やっぱトムさんすげえ。でも、もう二度ととろろいもは家に置かないことに決めた。

※使用したとろろいもはスタッフが美味しくいただきました!








いただきます」に投稿させていただきました!美味しいですね食物×静雄!
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