いつからこんなに変わってしまった?





クレイジー・ラバー





 俺を見て、にやりと笑う。お前は、誰だ?

「旦那?今日はオレ以外の奴と、何回喋ったか覚えてる?」
「、覚えてねえよ。そんなの」
「クク……。よくそんな事言えるな?この状態で」

 俺の足元で、ジャラ、と鎖の音がした。片方は俺の脚に、もう片方は壁の金具に取り付けられている。

「取れよ」
「その前に答えて。何回?」
「っ、覚えてねえって言ってんだろうが!!」
「……へえ。覚えてないほど沢山、かい?……お仕置きだな」
「!?やめろっ……ぅぐ!!」

 大きな手に、首を絞められた。楽しげに目を細めながら、じわり、じわりと力が込められていく。息ができない。

「……はな、……せ、息、でき…な……っ」
「旦那、その顔最高。ゾクゾクする」

 お前の目が、俺を眺める。うっとりと。美しいものでも見るように。苦しい。

「おっと。殺しちゃうところだった。うん」

 首から手が離れ、俺は床に突っ伏した。けほけほと咳き込み、必死に酸素を取り入れようと、呼吸する。

「はっ、はぁ……何を、する……っ!!」
「まだ口答えするのかい?」

 そう言うとお前は手で俺の頭をつかみ、持ち上げる。そのまま壁に頭をぶつけた。

「ぅ、痛い…!!放せっ!!」
「こうでもしないと…旦那、分かってくれないじゃん」

 頬を生ぬるい血が伝った。俺がこんなに怪我して、傷ついているのに、なんでお前は楽しそうなんだ?お前は、本当にあの『デイダラ』なのか?こんなの、デイダラじゃねえ!!

「お前なんか……!!お前なんか、大嫌いだ!!放せよっ!?」

 その言葉に、お前はぴたりと動きを止める。軽く目を見開いたまま、俺を見ている。やばい。殺される。手が、離れる。殺される。俺はぎゅ、と目を閉じた。

「……嫌いなんて……言わないでくれよ……」
「……!?」

 抱きしめられた。正確には、抱きつかれた。俺のカラダに優しく腕がまわされる。首筋に顔を埋めているので、表情は分からない。ただ、肩が震えていた。

「アンタに嫌われたら……もう、生きてる意味がねェよ」

 分からない。お前が何を考えているのか、さっぱり分からない。自分のことも、分からない。俺だって、お前が嫌いなはず。なのに、今は愛しく思える。狂ったお前と一緒にいて、俺もおかしくなったのか?

「なァ、サソリ……。本当に嫌いか……?」

「……否、違う」

 頭で考える前に、俺は口走っていた。まだ好きなんだ。デイダラのことが。こんなに狂ってしまったとしても。

「サソリ、ごめんな…。誰にも取られたくないんだよ……っ」
「ああ」

 優しく、甘く、口付けられる。久しぶりだな。口付けながら、また、首に手が掛かり、じわりじわりと力が込められていく。苦しい。本当に狂ってる。でも……俺も一緒に狂っちまえば、問題ないか?
 大好き。デイダラ。






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