印をつけて置こう。誰にも、取られないように。
独占の証
事が起こったのは、夕方。今日、任務で出かけていたイタチと鬼鮫が帰ってきた。帰ってくるなり、鬼鮫の怒ったような声が暁のアジトに響いた。
「まったく!だから、油断しちゃいけませんってあれほど言ったでしょう!?」
「うるさい。任務は成功したんだからいいだろう」
「良くありません!!毒が塗られてたらどうするつもりだったんですか!?」
その声を聞いて、部屋にいたサソリとデイダラがリビングに姿をあらわした。
「鬼鮫…うるせェよ。うん。いったい何が……イタチ!?どうしたんだよ!?」
デイダラが見たのは、頬から血をダラダラと流しているイタチだった。
「…敵に斬られた」
「ホウ…珍しいな」
「サソリさん!!珍しいとか言ってる場合じゃないですよ!傷、見てください!毒とかありませんか?」
「…いや、見るも何も、こんだけ喋れるんなら大丈夫だと思うぜ?」
「そうですか…。まあ一応救急箱とってきますね」
そう言って鬼鮫は部屋を出て行った。
「ククっ…鬼鮫、心配しすぎ」
「ああ…。まったく、ナンセンスだ」
「でも、血の出方からして結構深そうだな…」
とつぜん、サソリはイタチに近よっていく。何をするのか分からないデイダラは、黙って見ていた。さらにイタチに近よるサソリ。そして、次の瞬間、
ぺろり。
イタチの傷口を、舐めた。
「なっ……!」
さらにイタチの傷を舐めるサソリ。だいたいの血を舐め取り、最後に一舐めして、離れた。
「まあ、大丈夫だろ。ちゃんと鬼鮫に手当てしてもらえよ?」
「…すまないな、サソリ」
「別にいいぜ?じゃあ俺、本読みかけだから、部屋戻るわ」
「ああ」
「……」
サソリは部屋へ戻っていった。デイダラもしばらくそこに居たが、イタチを睨みつけ、リビングを後にした。向かうは…サソリの部屋。
コンコン。
扉を叩く音がサソリの部屋に響く。ドアを開け、入ってきたのはデイダラ。デイダラがサソリの部屋を訪れるのは珍しいことではない。しかし、いつもと感じが違うデイダラに、サソリは立ち上がった。
「デイダラ…?どうしたんだよ?」
何も言わずに近づいて来るデイダラに恐怖を感じ、サソリは後ずさった。とうとう壁際まで追い詰められ、サソリの逃げ場は無くなる。
「デイダラ!何、怒ってんだ?」
「…旦那」
「な、……なんだ、よ」
「アンタ、自分が誰のモンか、分かってんの?」
「はぁ?いきなり何言って……んっ!?」
デイダラは突然、壁にサソリを押し付け、唇を奪った。舌を差込み、激しく口内を犯す。荒く、でも、何処か優しいキスに、サソリは体中の力が抜けていく。デイダラが唇を離すと、壁伝いにずるずると崩れ落ちてしまった。
「はぁっ…はっ……何、すんだ、よ……」
「…ちょっと、黙ってな」
「!?んひゃぁっ…!んぁ…!」
デイダラはサソリの耳元で低く囁き、首すじに舌を這わす。そして、ちゅっ、と音を立てて吸い上げ、紅い痕を残していく。着物をはだけ、白い陶器のような肌に肩口まで紅い痕をたくさん付け、また唇を奪う。その間、サソリはずっとデイダラの服をつかんでいた。
「んっ…は…っ何でこんな……痕、いっぱい……っ」
「何でかって?…そりゃあ皆に、旦那はオイラのモンだって分からせるため。あと、アンタに自覚させるため」
「自、覚…?」
「アンタはオイラと付き合ってんだ。……他の奴に触れんじゃねェよ」
「!イタチの傷、舐めたからか…」
「…オイラにはあんな事しねェくせに」
耳に口を近づけてそう囁く。すると、顔を真っ赤にしたサソリからこんな言葉が返ってきた。
「……マジで好きな奴に、そんなの…っ恥ずかしくて出来るわけ、ねェだろ……っっ!」
「!…ククっ。今日はその言葉で許してやるよ。今度から、他の奴に必要以上に触れるなよ?…何するか分からねェぜ」
「わ、分かった…」
「よし!サソリ、愛してる」
「……俺も」
次の日、暁の会合に出席したサソリは、隠し切れなかった痕が皆にばれないように気を張っていた。しかし、そんな努力も空しく、皆に見つかってしまったとか………