お馴染のリビングで、2人の人間は口論していた。
「……デイダラ」
「ん?」
「暑い」
サソリが述べた言葉は、あくまで正論だった。いつでもサソリを抱きしめるデイダラは、今日もサソリに抱きついている。焼け付くように暑い日にそんなことをされると、サソリは堪ったもんじゃない。
「文句言うなよ。オイラも暑いんだからな。うん」
「じゃあ離れろよ……」
「嫌だ」
即答したデイダラに、サソリはため息をついた。
「なんでお前はいつもいつもくっついてくるんだよ?暑苦しいったらありゃしねえ」
その質問に対して、デイダラは答えを話し始めた。
「オイラは旦那が好き。だからくっついていたい」
「……ああ」
「でも、たまに……足りなくなって、キスもしたくなる」
「……ん!?」
サソリはいきなりデイダラに口付けられ、驚いた。体温が、上昇する。さらに暑くなってきた。
「はぁっ、いきなり何するんだよ!?」
デイダラはサソリの言葉を無視して話し続ける。
「それでも足りないときは……、もっとキスする」
「ん、ちょっと、」
白い白い首筋に、ちゅ、と音を立てて吸い付いた。
「ぁ、や……っ」
「……ほら、大体は此処で満足できるのに。そんな可愛い声出されたら、襲いたくなっちゃうじゃん?」
「ん、デイダラっ……やめ、」
最初に言った通り、此処はリビングだ。
そのとき。バァン!!と盛大な音を立て、扉が開いた。音の正体はイタチ。デイダラとサソリの状態を見て、固まった。まず、サソリ。目にはうっすら涙が溜まり、真っ赤な顔をして、デイダラの肩を押し返そうとしている。次に、デイダラ。手はサソリの着物に掛けられていて(脱がそうとしていた)、 サソリの首筋に顔を埋める状態で止まっている。
「……イタチ。邪魔するなよ」
最初に口を開いたのは、デイダラだ。
「その要求は呑めんな」
負けじと言い返す、イタチ。
「止めといた方がいいぜ?負け犬確実だし?」
「それはお前じゃないか?」
「……」
「……」
とうとういつものように滲み出す冷気。冷戦が、スタートした。
その日、リビングの気温が下がったことにより、暁メンバーは暑さをしのぐことができた。もちろん、サソリも快適に過ごせた。暁メンバーは(サソリ以外)、たまには冷戦もいいな、と今までの考えを改めましたとさ。