「アンタ疲れてるだろ?布団敷いとくから先に風呂入ってこいよ、……うん」

 始まりはこんな言葉だった。そのくせ、俺が風呂に入って数分も立たないうちに乱入してきた。そんで、何か言い合ってるうちに気付いたらキスされてて、気付いたらデイダラの熱に翻弄されて、何も考えられなくなってた。吃驚した。任務中は滅多に触れてこねえ(其処の所は割り切っているのだろうか?)デイダラが、突然、だ。あと、もう一つ、気になる。いつもより、好き、の回数が桁違いに多かった。





 くたりとしたサソリを、丁寧に洗ってやる。掌にシャンプーをとって、ゆっくり赤い髪になじませ、あわだてる。いい宿だな、うん。風呂が広くってあんまり負担掛けずに済んだ。まぁ、元からシなきゃ負担なんてゼロだけどな。ん?

「眠いのかい?」
「ああ」
「気持ち良い?」
「ん」

 上の空だな、……うん。まぁ、気持ち良さそうに目閉じてんのは可愛いけど。シャワーを手にとって、白い泡を洗い流した。





 そっと布団に寝かされる。おい、何で一つの布団に枕が二つなんだ?眠くて怒る気もしねえが。隣に潜り込んで来て、幸せそうに胸に擦り寄ってくる。一体何なんだよ?

「……何かあったか?」
「あー……、」

 バツが悪そうに顔をしかめる。此れは絶対何か有ったな。軽く睨みつけてやった。

「あのさ、今日ってバレンタインだろ?」
「……はぁ?何だ?俺からのチョコでも期待してたのか?」
「いや、オイラがあげようと思って買ってきたんだけど……、」
「けど?」
「アジトに忘れてきちまったんだよ、……うん」
「……、はァー……」
「でも、折角バレンタインだからさ、せめて……」
「馬鹿野郎」

 悪態をついたけど、コイツにはお見通しだろう。幸せそうに笑いやがる。

「帰ったらチョコやるよ、……うん」
「いらねえよ」

 今日言われた、好き、の回数だけで腹一杯なんだよ、馬鹿野郎!!






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