「Aクラス、アレルヤ・ハプティズム。そして、ライルが言ってたのはこいつ、同じくAクラス、ハレルヤ・ハプティズム」

 ソレスタル学園、旧校舎。現在生徒会役員及び執行部員にのみ使用を許されたその一室で、話し合いが行われていた。

「そうそう、この子」

 生徒会長のニールがテーブルに置いたデータの写真を、執行部員であるライルがつつく。

「ティエリアがこの双子について調べてきてくれたぜ。報告頼む、ティエリア」
「ああ」

 ティエリアは中等部の生徒でありながら副会長である。ニールに促されて報告を始めた。

「アレルヤ・ハプティズム、ハレルヤ・ハプティズム、二人は特待生として入学している。入学式で挨拶をしたのはアレルヤ・ハプティズムだが、入試成績トップはどうやらハレルヤ・ハプティズムらしい」
「ハレルヤは挨拶を辞退した、ってことか?」
「そういうことです。ハレルヤ・ハプティズムは全教科満点。アレルヤ・ハプティズムは計算ミスによりマイナス三点」
「……よくそこまで調べたな」

 ライルは感心したように呟いた。

「ヴェーダ、……校長に聞いた」
「なるほどな。それにしてもその双子……ますます面白そうだ」

 楽しそうに笑うライル。そこへニールが口を挟んだ。

「おい、刹那が取り残されてるぜ」

 刹那は、中等部の執行部員だ。訳が分からない、といった表情でデータを見詰めている。

「一体何の話だ」

 刹那の言葉にティエリアの機嫌が急降下したのを感じ、その近くにいたライルはニールの傍へと僅かに移動した。

「入学式の間眠りこけていたのだから、当然だろう。だから、前の晩にあれほど……!」
「説明してくれ、ティエリア」
「……」

 刹那は怒るティエリアの話を遮り、説明を求める。少しの間黙って刹那を睨み付けていたティエリアだったが、ひとつ溜め息を吐くと語気荒く説明を始めた。
 それを聞きながらライルはニールに話し掛けた。

「前の晩に、って……」
「ああ、また刹那の趣味、だろうな……」

 ニールは遠い目をした。
 刹那とティエリアは旧校舎の二階で同室である。旧校舎の二階は寮として使用できるように改装されており、その部屋の大半は使用されていない。一人一部屋使っても部屋は余る。全寮制のこの学校では、一般生徒は誰かと相部屋になることを余儀なくされる。そんな中で、これは生徒会役員及び執行部員の特権だ。それにもかかわらず、二人は同室。理由は、話題に登っている刹那の趣味だ。

「そういえば……刹那、この前買ってきてたもんなぁ……」
「新発売のガンプラ」

 一度取り掛かると完成まで止まらない、その趣味。それを見たティエリアは自ら刹那の生活管理を買って出たのだ。生徒会の活動に支障を来しては困る、と。
 まだ説明を続けているティエリアを僅かに憐れみ、ニールとライルは溜め息を吐いた。

「で、どうする?」
「ああ、もちろんハプティズム兄弟に招待状を出す」
「内容は?」

 尋ねながら便箋を差し出すニールに笑みを向け、ライルはペンをくるり、と回した。




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -