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「拓海、帰るぞ」

「え、あ、ちょっと待って翔」



そう言って友達に手をふりこっちに駆けてくる俺の恋人。

拓海はいたってルックスは普通だけど、その友達思いなところや話上手なところから男女共に人気がある。

俺は拓海のそういうところや、たまに見せる可愛い仕草に惹かれ好きになった。


だけどその、まだ幼さが残るあどけない笑顔をみんなに見せいているのだと思うとムカムカする。

そういう可愛い姿は俺にだけ見せていればいいんだ。



「翔、何か怒ってる?眉間に皺がよってる」



お前は何もわからないのか。

俺がお前の事を考えて悶々としている事を。


「別に。……今日、家にくるか?」

「うん、行く行くっ!」


拓海はよく俺の家にくる。

ゲームをしたりDVDを見たり……、2人きりになれる幸せな時間だ。



それから2人で他愛もない会話をしながら帰った。

さっきまでムカムカしてた気持ちは話してるうちにどこかに飛んでいったようだ。



家につき、俺の部屋でいつものようにゲームをしたり話をした。

「そしたらね、大樹がこんなこと言ってさー」

ケラケラと楽しそうに拓海が話す。


さっきから友達の話ばかりだ。

飛んでいった嫌な気持ちが再び降りてきた。

少しは自分の話や俺の話をしてくれたっていいのに。

人気があって話したいことが山々なのはわかるけど、それでも嫌だった。




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