4時限目のチャイムが鳴り、生徒たちが一斉に動き出す。中天にさんさんと輝く太陽に伴って俺様の腹も空腹を訴えていた。
「弁当でござる!!」
誰よりも早く机をくっつけ始めた旦那に苦笑して持ってきた弁当の包みを取り出す。そうしていると次第に他の奴らも集まってきた。
「あー、もう腹減って逆に気持ち悪りぃ。」
「……。」
「hey!早く食おうぜ。」
目の前で広げられる色とりどりの弁当に、つい「明日の弁当はどうしようか」と考えてしまう。(こういうことばっかりしてるからオカンとか言われんのかな)
「ぶっ、おまっ…元就。何でお前の弁当オクラばっかりなんだよ!?つか弁当より菓子の量の方が多くね!!?」
言われた本人の方を見ると、オクラがぎっしり詰まった手のひらサイズの弁当と、その隣に多種多様な菓子が山のように積まれていた。
「ふん、我は貴様等と違って頭を使うゆえ甘味が必要なのだ。貴様こそなんだ、その弁当は!?」
元親の弁当を見れば女子のような可愛い弁当箱にこれまたカラフルで手の込んだおかずがちまちまと入っていた。
「なんだよぉ!普通じゃねぇか。」
「弁当単体で見ればそれは普通だが、おまえが持ってると普通じゃなくなるんだよ!」
「つか政宗の弁当も緑多いよなぁ。」
「……!」
ナマエの言葉に、風魔がこくこくと頷く。政宗の弁当を覗くと中にはごぼうのきんぴらにねぎぬた、切り干し大根、煮豆…。
「うわ…精進料理かよ…」
「片倉の目には確実に大豆が本物の肉に見えてるな。」
政宗はすでに諦めた表情をしている。
「ンな顔すんなって!きんぴらもねぎぬたも美味いじゃん!!」
にこにこと笑って言う慶次に政宗が噛みつく。
「てめーは自分の飯がうめぇからそういう事が言えるんだよ!!このKG!!」
「何、KGって!?それ中傷語なの!?俺泣くよ!!?」
「慶次のKは空気のK〜」
「ちょ、誰だよ今口ずさんだ奴!つーか幸村俺の弁当食わないでぇぇ!!」
幸村の方を見れば慶次の重箱のような弁当を開けて肉団子を口に放り込んでいる。
「shit!幸村ァ!てめーは猿の作った弁当があるだろーが!!俺によこしやがれ!」
弁当を奪おうとする政宗を、幸村が箸で防御する。
「佐助の弁当は佐助の弁当、慶次殿の弁当は慶次殿の弁当でござる!」
「意味分かんねぇんだよ!きんぴらやるから食ってろ!!」
暴れ出す2人をを見てナマエは何か閃いたように笑うと「佐助の弁当いらねーんなら俺がもーらい!」と言ってひょいと机から俺様の弁当をかっさらう。
「あ、」
「某の弁当!!」
幸村の悲鳴を尻目にぱくぱくとおかずを平らげていくナマエ。旦那が弁当を取り返した時には半分に減っていた。
「そ、某の弁当…」
がっくりと肩を落とす旦那にナマエが「悪かったって、俺の弁当やるから。」と囁くと旦那は嬉しそうに顔を上げた。(旦那…)
「にしても佐助、料理うまいよなぁ。」
褒められるのはうれしいがどうせオカンみたいだと言われるんだろうとため息をつく。
「佐助、俺のとこに嫁に来いよ。」
「……え?」
予想に反した言葉に俺様の顔が一気に朱に染まる。
「なっ!!?」
「…!!?」
「佐助ぇぇぇ!!それは一体どういうことでござるかぁぁ!!?」
どういうことだと言われても、言われた俺様が1番動揺している。風魔があからさまにショックを受けた顔をしているがそれどころじゃない。悪戯っぽくにやりと笑うナマエにめまいを起こしそうになった。
(ほんとは、そんなこと思ってないくせに)(誰かこの頬の熱をどうにかして!!)