短編(old)
!学パロ
!クラスメイト主



好きで。好きで。好きで。
いつも気がついたらナマエを見ていたんだ。どうしたらこちらを振り向いてくれるのか考え続ける日々は苦痛で、でもそれが何より楽しかった。越えられそうにもない高い友情という名の一見して美しいものであるかのような強大な壁は依然として俺様の前に立ちふさがっているわけだが、何時かは越えてやる気で居た。ナマエの好きだというものを調べ、ナマエの好みのファッションで、ナマエの理想の人間像を目指した。そのくらい俺様はナマエのことが好きだ。勿論ナマエは俺様が好意を持っているなんてことをこれっぽっちも知らないだろうし、俺様の行動の全てが彼を基準にして回っているなんていうことも知らないだろう……と思っていた。
旦那が、口を……滑らせるまでは。

「当たり前でござる!佐助はナマエ殿のことをお慕いしてござるからな!」

午後の教室で、なんの話をしていた時だろうか。そんな前後の事情なんて覚えちゃいない。
だが瞬間、そこに居たナマエを除く全員の顔が青ざめた。旦那なんかは真っ青になった後に必死に言い訳をしようとして逆に真っ赤になっている。
長い沈黙が続いた。妙にナマエと仲の良い旦那を牽制しようとして秘密を打ち明けた俺様が悪いのか。全員が顔面を蒼白にしている中、ナマエだけは依然、雑談をしていた時と同じようににこにこと笑っている。聞こえなかった、はずはない、んだけど……。
物凄い気まずさと緊張の中、ナマエがゆっくりと口を開いた。

「知ってるよ」

………………え?
は?今なんて……。ちょ、は?え?
え?



(「だから、これからもアピール頑張ってね」と彼は微笑った)

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