短編(old)
! マルコさんがドMです。
! キャラ崩壊注意




初めまして。
ごきげんよう世界中の紳士、淑女の皆様。私は白ひげ海賊団5番隊所属のナマエと申します。数年前に親父様の男気とビスタ隊長の紳士さに惚れて白ひげ海賊団に船大工見習いとして所属させていただきました。現在は先程も申しました通り、憧れのビスタ隊長の傍で船大工としての修行をしつつ海賊家業をさせていただいております。

一介の賞金稼ぎでしかなかった私を快く迎え入れてくださった親父様とビスタ隊長の為にも、日々妥協を許さずビスタ隊長のような立派な紳士になれるよう努めていく次第でございます。船での生活はけして楽ではございませんが、少々騒がしいけれど気のいい仲間たちのお陰で日々を楽しく過ごせております。
ただひとつの問題を除いて。

「よう。探したよいナマエ」

その問題の原因がこの方。
親父様の右腕であり天下の白ひげ海賊団1番隊隊長、不死鳥マルコさんなのでございます。

「…おはようございますマルコ隊長」

私は持っていたモップをぎゅっと固く握ってマルコ隊長に挨拶を返した。それを皮切りに共に甲板の掃除をしていた他のクルーたちも次々とマルコ隊長に挨拶をしだす。しかしマルコ隊長はそれらの挨拶には一切関心を向けずに私の掴んでいたモップに無理矢理手をかけた。

「ナマエはモップがけなんてしなくていいよい。代わりに俺がやる」

私からモップを奪おうとするマルコ隊長に必死で抵抗して指先に力を込める。

「何を仰るのですか。船内の清掃は私共したっぱの仕事でございます。マルコ隊長はそんなこと為さらないでください」
「俺がやりてぇってんだから気にしなくていいんだよい。ナマエの代わりにやらせてくれよい」

ギリギリとモップに力を込めるが如何せんマルコ隊長の方が力が強い。モップは私の健闘も空しくマルコ隊長の手に渡ってしまった。無念でございます。
マルコ隊長は私の手からモップを奪うと嬉々として甲板を拭き始めた。周りのクルーたちの間に緊張が走る。ああ、申し訳ありません。
私が頭を抱えるとマルコ隊長は真剣な瞳で私を見つめた。

「ナマエはもっと俺のこと使って構わねぇんだよい。俺はナマエの…下僕、なんだからねい」

これだ。
何故かは分からない(分かりたくもない)がマルコ隊長は数年前、私に出会ったその日から「俺はナマエの下僕だよい」宣言をしており、それ以来何かと私に構ってはこの様にSM紛いな絡みをしてくるのである。真剣な顔でそんなことをのたまう貴方の気持ちが知れません。気持ち悪うございます。
私が顔をしかめるとマルコ隊長はぽっと顔を赤らめた。私の全身にぞっと鳥肌がたつ。限界だ、逃げよう。
もう私にはどうしたらいいか分からないです、お助けくださいビスタ隊長!と心のなかで叫びつつ努めて紳士的にその場を去ろうとするとマルコ隊長が強く私の腕を掴んだ。

「…!!…私にまだ何か御用でしょうか?」

私が心掛けて目を見ないように問い掛けるとマルコ隊長は再び頬を赤く染めて(おえ)恥じらいを込めて呟いた。

「ナマエ…!放置プレイもイいんだが…たまには構って罵って欲しいよい…」

何を言っているんだこいつは。
何を言っているんだこいつは。(大事なことなので二度申しました)

放置プレイですって?私はそのようなプレイを施した覚えはございません。このボケクソカスが!

おっと失礼。つい賞金稼ぎでやんちゃしていたころの口調に戻ってしまいました。私もまだまだ紳士としては未熟でございます。
気をとりなおして努めて感情のこもらない目でマルコ隊長を見つめる。

「マルコ隊長、私にそのようなつもりはございません。元来マルコ隊長は私の下僕ではございませんし、私もマルコ隊長の主人などでは決してございません。私は純然たる白ひげ海賊団の仲間であり隊長の部下であるだけでございます。特にマルコ隊長に対しては私的な感情は持ち合わせてございません。…少々嫌悪感なら感じておりますが。お分かりいただけましたか?」

なかなか厳しい言い方になってしまいましたが、致し方ないでしょう。私も大概迷惑を被っております。仕事を奪われることは勿論、ベッドに入り込まれたり、大いに誤解を招かれたり。
それに生易しい言い方をしましても、恐らく効果はございませんでしょうから。

ちらりとマルコ隊長の様子を窺うと俯いて肩を震わせていた。理解していただけたのだろうか、とモップに手を伸ばす。

「それでは私は掃除に戻らせていただきま…っ!」

モップに手をかけようとした所で勢いよくマルコ隊長に抱き着かれる。私の方が背が高いので、丁度マルコ隊長が胸元に顔を埋めるような形になってしまった。モップは私の手を離れて床に叩き付けられる。ああ、私のモップが!
非難がましく懐にいるマルコ隊長を見つめればマルコ隊長はぱっと顔をあげて私を見つめかえした。頬が真っ赤に染まって瞳が恍惚としている。クルーたちの間で語られるクールで凛々しい1番隊隊長の姿はどこにもいらっしゃらない。どうしてこうなった。気色悪くてどうしたらいいか分からない。

「そんな冷たい目…っ!はぁっ…ナマエッもっと言ってくれよい…!」

………あー。


気持ち悪ぃから俺に触んじゃねぇ!
このボケクソカスの変態野郎が!!

(しまった!ビスタ隊長…私は紳士失格でございます…!)(今のヤばいよいっ!もっかい言ってくれい…!)

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謎解きは〜とサブマスのお陰で空前の敬語ブーム
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