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「ねえ最近カクから妙に視線を感じるんだけど、アイツ大丈夫なの?」
世界政府のラウンジを訪れるとふと、そんな声が聞こえてきて足を止める。こっそりと様子を伺うとソファーに座ったジャブラとカリファを後ろから覗き込むようにして奴がソファーの背にのしかかっていた。

「大丈夫かってどういうことだぁ?からかわれすぎたカクがとうとうお前を殺そうと思い立ったってんなら分からん話でもねぇがな」

しかしお前が他人の心配なんて、明日は血の雨でも降るんじゃないか?と呟いたジャブラに「心配だったら俺はたーっくさんしてるよ!手間も面倒もかからないけど、バッチリ印象はいいだろ?」と奴がニヤニヤ笑いながら返す。つくづく最低なクソッタレ野郎じゃ。

「あら、それ以外かもしれないわよ。例えば…ねぇ?」

ふたりの様子を一瞥して呟いたカリファが意味あり気にこちらに視線を向ける。慌てて顔を引っ込めれば「カリファちゃんもそう思うゥ?」という奴の声が聞こえてギクリとして耳をそばだてた。

「カクの奴きっと俺に仕返ししようとしてんだぜ!だから俺の隙を虎視眈々と狙ってるんだ!」

確信的にそうまくし立てる馬鹿の言葉にホッと胸を撫で下ろす。しかし、最悪じゃ。あいつを視線で追っているなんて、自分でも気づいていなかった。着実に蝕まれているであろう自分自身に危機感が募る。いやいや、ワシは絶対お断りじゃ!全部悪魔の実のせいだ!早く治ってくれ。頼む。

「だから今度カクのベッドにふたりで潜り込んでやろうぜ?あいつきっと目ェ剥いてブチ切れるぞ!」

楽しそうに奴が囁く。しかし、カリファの「カクの部屋の隣はルッチよ」の一言で奴はあっさりと悪戯を断念した。…残念だと思ったワシを、誰か蹴り飛ばしてくれ。

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