■セプモブと伏見猿比古

セプター4の詰所にて。日々仕事に精を出しているメンバーも、流石にここ連日現場に駆り出され報告書の嵐に頭を痛めていた。

「ほんっと、やってらんないって…」
「ちょっと厳しいですよね、流石に…」
「つーか!伏見さんて年下っしょ!?いくら室長のお気に入りだからって一人部屋にしてもらったりナンバー3って呼ばれちゃってたり、意味わかんないだけど!」
 
昼時の休憩時間。口うるさい女上司の目を盗んで一服とばかりにやってきた休憩室で声を荒げるのはナンバー3以下の面々。室長である宗像についてや副長の淡島の話はもちろんの事、本日のお題としては年下の癖に生意気な伏見の話だった。自分たちよりもいくつも年下だというにもかかわらず主導権を握り、文句を言い、顎で使い、挙げ句自分は敵対組織の吠舞羅から抜けて来た者だというのだから尚更怒りは募るばかり。もちろん仕事ができることは認めている。それでも我慢ならんと声を上げるのは道明寺だった。

「いけ好かないんだよな、あの人。まだガキじゃん。そのくせなんだっけ、吠舞羅のお気に入りの子かなんか見つけると血相変えてさー。大人ぶってガキのくせに強がっちゃってさぁ。未成年だからって室長も副長も甘やかしすぎっつうか…」
「ど、道明寺、そ、そのくらいで…」
「秋山もほんとはそのくらい思ってるくせにさぁ…」
 
自らの不満をつらつらと口にしたところでちょうど向かいに腰掛ける秋山は慌てているようだ。何を庇う理由があるのだと、やれやれまったくと肩を竦めたところで首に当たるのは冷たい何か。ゆっくりと視線だけでそれを捉えようとすれば、短剣のようなもので。そのまま嫌な予感を胸に抱きながら振り向けば、そこに立つのは鬼の形相という言葉が似合うのではないかという、上司であり話題の中心である伏見猿比古だった。

「言いたいことはそれだけか、道明寺」
「ふ、伏見、さん…休憩、っすか?」
「休憩入ったまま戻ってこねえバカの迎えに来てやったらこれか。ほー、そんなこと思ってただなんてなぁ?」
「い、や、違いますって違いますって!あ、これは、ほら!!日高!日高が言ってたんすよ!」
「てめ!俺のせいにしてんじゃねえよ!!」
 
泳がせた視線の先にいた日高を咄嗟の言い訳に使ってはみたが、もちろん大人しく自分がなんて嘘を言うはずも無く文句を口にする。日高と名前があがればちらりと日高に視線を向けて、しかし伏見は道明寺の首元に宛がった短剣は退けぬまま。その場にいた全員に視線を向けてから軽い溜息と共にそれを懐へ収めた。

「バカに付き合ってられねえ…」
「伏見さん……」
「てめぇらいいから仕事もどれ」
「はいぃぃ!」
 
伏見の言葉に全員慌てたようにその場を後にしながら、ほっと息を吐き出したのも束の間。その日全員のテーブルにはいつも以上に書類が乗せられ、誰一人として定時で仕事をあがれた者はいなかったという。


END

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