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 がなる風雲急(1/4)



時は少し遡りハルと爆豪が狙われているとテレパスされた頃、施設内にいた切島はブラドキングに向けて頼み込んでいた。



「ダチが狙われてんだ!頼みます!行かせて下さい!!」

「ダメだ!」

「敵の数が不明ならば戦力は少しでも多い方が!」

「戦えって!!相澤先生も言ってたでしょ!!」

「あれは自衛の為だ。皆がここに戻れるようにな」



切島に続き飯田と芦戸もブラドキングへ交渉するが頑なに扉の前から退こうとはしなかった。

その時、物音とともに扉の窓に人影が浮かび上がる。
相澤先生が帰ってきた!と口々に言う生徒とは違い、違和感に気づいたブラドキングは近くにいた切島と芦戸を守るように部屋の奥へ押し込む。
それと同時に、扉から青い炎が噴出され、飯田も背後にいた峰田たちに下がるように指示を出す。



「さっきやられてた───敵!!?」



先程相澤と会敵し、倒されたはずの荼毘がまた施設へ襲撃を仕掛けていたのだ。
荼毘が再び攻撃を仕掛けようとした時、目にも止まらぬ早さでブラドキングは飛びかかると壁へと押し付ける。



「遅いわ!こんなところにまで考え無しのガン攻めか。随分舐めてくれる!」

「(三秒経たないうちに…)“操血”…強え!」

「流石僕らのブラドセンセー!!!」

「そりゃあ舐めるだろ。思った通りの言動だ。後手に回った時点でおまえら負けてんだよ」

「───…!」



追い込まれた状況にも関わらず荼毘は小さく笑みを浮かべるとブラドキングに対して挑発を続けた。



「ヒーロー育成の最高峰雄英と平和の象徴オールマイト。ヒーロー社会に於いて最も信頼の高い2つが集まった。ここで信頼の揺らぐような案件が重なれば…その揺らぎは社会全体に蔓延すると思わないか?例えば───…」



何度も襲撃を許す杜撰な管理体制。

挙句に生徒を犯罪集団に奪われる弱さ。



「てめー…まさかハルと爆豪を……」

「そういうことかよ!?ザけんじゃねえ!」

「見てろ。少人数の俺たちがおまえらを追い詰めてくんだ」

「無駄だブラド」



扉から一切の躊躇もなく相澤は荼毘に向けて蹴りをお見舞すると、そのまま捕縛布で縛りながら攻撃を続けた。



「こいつは煽るだけで情報出さねえよ。それに見ろ。ニセモノだ。さっきも来た」



足元でボコられていた荼毘は跡形もなくなっており、床には液状の何かが広がっているだけだった。



「イレイザー!おまえ何してた!」

「悪い。戦闘許可を出しに行ったつもりが洸汰くんを保護してた。預かっててくれ。俺は戦線に出る。ブラドは引き続きここの護衛を頼む」

「待てイレイザー。またどれだけ攻めてくるかもわからん!」

「ブラド一人で大丈夫だ。このニセモノ見ろ。二回ともコレ一体だ。強気な攻めはプロをここに縛る為だと見た。“人員の足りない中で案じられた策”だ、こりゃ」



それを聞いた切島と飯田は相澤へとある提案を持ちかける。



「敵が少ねえなら尚更俺も…!」

「ええ!数に勝るものなしです!」



だがそんな二人の提案をダメだと相澤は一蹴する。



「プロを足止めする以上狙いは生徒。水科と爆豪以外、他にも狙ってるかもしれん。情報量じゃ依然圧倒的に負けてんだ。俺たちはまず───」



全員無事でいることが勝利条件だ。





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