◎ 個性(1/6)
林間合宿二日目。
この日から各々の“個性”を伸ばすことへ注力することに。
“個性”も使い続ければ強くなり、使わなければ衰える。
すなわちやるべきことは一つ。
「限界突破!!」
B組メンバーもすでにA組メンバーが特訓している場所へとブラドキングに連れてこられたが、思わずたじろいでしまうほどの地獄絵図が広がっていた。
死にそうな顔を浮かべて特訓に取り組む者。
姿は見えないが叫び声だけがこだます者。
一筋縄ではいきそうにない訓練なのは一目瞭然だった。
「発動上限のある発動型は上限の底上げ。異形型・その他複合型は“個性”に由来する器官・部位の更なる鍛錬。通常であれば肉体の成長に合わせて行うが…」
「まァ時間がないんでな。B組も早くしろ」
B組メンバー見つけた相澤が近づき声をかける。
そうしたいのは山々だが、B組も加わると総勢41名。
そんな人数の個性を教師陣2人含む6人で管理しきれるのかという疑問が浮かぶ。
「だから彼女らだ」
「そうなの。あちきら四位一体!」
「煌めく眼でロックオン!!」
「猫の手、手助けやって来る!!」
「どこからともなくやって来る…」
「キュートにキャットにスティンガー!!」
ワイルド・ワイルド・プッシャーキャッツ!!!(フルver)
「あちきの個性“サーチ”!この目で見た人の情報丸わかり!居場所も弱点も!ラグドール!!」
「私の“土流”で各々の鍛錬に見合う場を形成!ピクシーボブ!」
「そして私の“テレパス”で一度に複数人間へアドバイス。マンダレイ!」
「そこを我…虎が殴る蹴るの暴行よ…!」
ワイルド・ワイルド・プッシャーキャッツは四人から形成されるチーム。
ただ虎一人は華奢な女性陣とはうってかわってムキムキかつ強面なため一人異質な存在となっていた。
虎はB組メンバーに叫ぶ。
「単純な増強型の者。我の元へ来い!」
「!」
「我ーズブートキャンプはもう始まってるぞ」
「ひーー」
「「(古っ…)」」
一昔前にダイエット法として流行ったダンスを緑谷は全力で踊っていた。
そしてそんな緑谷に虎は今だ撃ってこいと個性の使用を促す。
「5%デトロイトスマッシュ!!」
「よォォォし。まだまだキレキレじゃないか!!」
虎はそんな緑谷の攻撃を意図も容易く避けると…
「筋繊維がちぎれてない証拠だよ!!!」
熱い拳を緑谷の頬へと叩き込む。
「イエッサ!!」
「声が小さい」
「
イエッサァ!!」
「
プルスウルトラだろォ!?しろよ!ウルトラ!」
そんな熱い?虎の指導に引きつつもB組メンバーもそれぞれの個性にあったところで特訓を始める。
一方のハルはというと……
「……ふんぬぅっ!!」
目の前には2Lペットボトル1本と大きな湖があったと思われる窪み。
許容上限のある発動型の個性“温冷水”の上限底上げの為に貸された課題は2Lの水を湖一杯に増幅させると言うもの。
シンプルだが上限を超えると脱水症状を起こし得ないため、ギリギリの所まで増幅しては解除してを繰り返していた。
「……はあ…はあ…(まだ朝だから良いけど…日が昇ってくると……死ぬ!!!)」
他のみんなも頑張っていると自身を鼓舞すると再び個性の特訓を始めた。
「…………」
そんなハルの様子を人知れず洸汰が見ていたことも知らずに。
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