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 もうじき夏が終わるから(1/7)



それはまだハルが入院していた時のこと。
意識が戻って検査を受けもうすぐ退院といった時にお見舞いに来ていた上鳴・切島・瀬呂の三人がハルに尋ねた。



「ハルーこの夏なんかやりたい事あるか?」

「なんでも俺らが叶えてやるから遠慮は無用だぜ」

「瀬呂も切島もいきなりだな。どうした?」

「高校生の夏休みは貴重だろー?林間合宿も敵連合のせいであんな感じになっちまったし…俺らも夏らしいことしたくてさ!ってことでハルはどう?なんかない?」



上鳴の問いにハルはうーんと少し悩んだ後、何か思いついたのか困ったように笑う。
それに気づいた切島が声をかけた。



「なんか思いついたか!?なになに?」

「なんでもって言ったから……ちょっと無理なお願いでも良い?」

「とりあえず言ってみろよ」

「俺……花火大会に行きたいな」







ハルとの面会を終えた三人は家路に着きながら先程のことについて相談していた。
瀬呂は頭に両手を添えながら悩ましげに首を傾げた。



「夏祭り……夏祭りか〜」

「ここら辺の祭りは大体8月頭に終わっちゃってんだよな」



上鳴はスマホで検索しながら顎に手を当てる。
続いて腕を組んだ切島が口を開く。



「それよりもハルが外出すんのはハードル高すぎんだろ。バクゴーですらお見舞い禁止って言われてんのに」

「まあ……ワンチャンあるかもしれないし相澤先生に聞いてみる?」

「ワンチャン……なあ……?」



一縷の望みをかけて三人は相澤に交渉してみるものの帰ってきた返事は3文字。



「ダメだ」

「「「(デスヨネー)」」」

「これから始まる寮生活の意味を考えてくれ。水科は敵連合に一度攫われている…そんな水科が呑気に遊んでる姿を市民に見られてみろ。それこそ雄英の管理体制について問われる。もちろんA組(おまえたち)にも同様に言えることだ」



相澤の言うことはもっともで三人は何も言い返すことが出来なかった。
だがそんな中で切島があの、と声をかける。



「相澤先生の言ってることわかります。でもハルはあんな酷い目にあって…昔いろいろあったって聞いたし……あいつの中で夏に少しでも楽しい思い出できたら楽になるんじゃないかって思って!」

「(確かに水科が夏祭りに行きたいって言うのは意外だったな)」



ハルは夏祭りに親友二人を失った。
本人にとっても辛い記憶のはずなのにそうリクエストをすることに何か意味があるのではと相澤も引っかかっていた。



「(水科だけじゃない。今回の寮制は他の連中にとっても負担が大きい……夏休みにいろいろ計画を立てていた者も多いだろう)」

「相澤センセー頼みます!先生だけが頼りなんだ!!」

「…………」



ただでさえ被害を受けているA組連中にこれ以上の非難が向かないよう出来ることを模索する。
それも担任としての役目か……。

そう考えた相澤先生は顎に手を当て難しい表情を浮かべながらゆっくり口を開いた。



「…………外出は許可できない。が、代替案を検討する」

「!!」

「さすが相澤センセー!頼りになるー!」

「でも代替案って一体─────」

「通るか知らんが…………」

「「「??」」」





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