◎ 夜空のボンゴレリング(1/5)
「同じリングを持つ者同士のガチンコ勝負〜〜〜!!?」
「ああ。あとは指示を待てと書いてある。そして────」
「!」
家光の視線が葵を捉えると再び話は続いた。
「後継者とその守護者を決める7つのボンゴレリングに関しては勝負にて決着がつく。だが夜空のボンゴレリングに関しては例外とする」
「夜空って…葵が選ばれるかもっていうあの…?」
「ああ。夜空のボンゴレリングは唯一ハーフボンゴレリングとして分割することができないんだ。それが示すことは一つ。夜空のボンゴレリングは然るべき時に然るべき人間にのみ継承が許される」
「(然るべき時に…然るべき人間にのみ……)」
葵を見つめる家光は眉をひそめ、どこか心配そうな表情を浮かべた。
「9代目はその継承者に山下葵を選んだ。この件に関してオレは誰が継承者なのか見定めることが出来ない以上、口出しが出来ない」
「9代目はどうしてオレを…?」
「ボンゴレ血統特有の“見透かす力”───“超直感”。そいつで9代目は君と夜空のボンゴレリングの適性を見たんだろう」
「超直感……」
ボンゴレリングに選ばれるということはファミリーとして光栄なことであり、こんな状況下だが葵にとっても決してマイナスなことでは無い。
だが葵に襲い来るよく分からない心がザワザワとする感覚に本人も戸惑いを隠せずにいた。
そんな葵を察したのかツナは一歩前に出て庇うように立つと言った。
「待って待って!いきなりそんなこと言われても葵だって困るよ!本人の意思も聞かずにこんなのってないよ!」
「ツナ……」
「……他の守護者ならお前の言うことは最もだがこの件は例外だ。これはオレらにどうこう出来る話じゃない」
「んな勝手な…!ていうか夜空のボンゴレリングは行方不明って聞いたよ!?肝心のリングがないのに継承なんて───」
「その件含めて我々が説明しましょう」
高台の草むらからふたつの影が飛び出す。
まるで双子のように瓜二つでピンク色のロングヘアが特徴的で目元を隠した女性二人は家光達とヴァリアーの間に着地する。
「今回のリング争奪戦は」
「我々が審判を努めます」
無表情で淡々と話す口調に不気味さを感じつつ、謎の女性二人組にその場にいた全員が訝しげな表情を浮かべる。
すると女性のひとりが9代目の死炎印が灯った書類を見せながら話を続ける。
「我々は9代目直属のチェルベッロ機関の者です」
「リング争奪戦において我々の決定は9代目の決定だと思ってください」
「9代目はこれがファミリー全体を納得させるためのギリギリの措置だとおっしゃっています。異存はありませんか?XANXUS様」
その問いかけに黙るXANXUSの様子を見て承諾と受け取ったチェルベッロは礼を告げる。
だが対する家光はチェルベッロ機関など聞いたことないと意義を唱えるが自分たちは9代目に仕えていて、門外顧問の家光の力が及ぶ範囲ではないと告げる。
「本来7種類のハーフボンゴレリングはボスの持つ1組と門外顧問の持つ1組、計2組存在し」
「跡継ぎの式典の際にボスと門外顧問の2人が認めた7名に2種のリングを合体させた完全なるボンゴレリンクの状態で継承されるものなのです」
だが今回はボスと門外顧問の2人がふさわしいと考える7名が食い違い、それぞれが違う人物に片割れのハーフボンゴレリンクを配ってしまうという異例の事態に。
9代目が後継者と認めたXANXUS率いる7名と家光が後継者と認めたツナ率いる7名。
「そこで真のリングにふさわしいのはどちらなのか命をかけて証明してもらいます」
prev|
next