◎ メリれ!メリークリスマス!(1/6)
「あれ?ハルちゃんお出かけ?」
梅雨ちゃんに声をかけられて振り返る。
なんて返そうか一瞬言葉に迷いながらもここはあえてこう返してみた。
「ちょっとデートに」
「!!!」
ガタッと音が聞こえたかと思うと峰田が物凄い勢いで俺に向かって走ってきたかと思うと血眼で俺を見ながら胸ぐらを掴む。
「
はああああ!!?期末も無事に終わったからって浮ついてんじゃねェよ!!何がクリスマスだ!!」
「わー!峰田ごめんごめん!!」
「落ち着きたまえ峰田くん!」
物凄い勢いで俺を揺さぶる峰田の首根っこを飯田は掴んでやめさせる。
飯田はため息をつきながら俺に言った。
「ハルくんも誤解するような言い方は止めたまえ」
「ごめんごめん」
「誤解?」
「ああ。今日は─────」
◇
「おお。水科悪いな」
「いいえ。エリちゃんお待たせ」
「!こんにちは」
「こんにちは」
「ちゃんと挨拶できて偉いな」
冬用のコートを来て首にマフラーを巻いてもこもこになっているエリちゃんの姿に思わず笑みがこぼれる。
そしていつも身につけている肩掛けカバンには俺が前にあげたキーホルダーをずっとつけていてくれて嬉しくなって頭をポンポンと撫でた。
「シートベルトしたか?行くぞ」
「「はーい」」
そう。今日は相澤先生の付き添いのもとエリちゃんと一緒に買い物に行くことになった。
というのも少し前に通形先輩からのお願いがきっかけで────
「ハルくんに用事があってね。緑谷くんにここにいるって聞いたんだ」
「俺に用事ってなんですか?」
「実はねA組のクリスマス会にエリちゃんも参加させてもらえないかな?俺らのクラスでもやる予定なんだけどA組なら相澤先生もいるし、緑谷くんや切島くん達もいるからエリちゃんも楽しめるかと思って」
「もちろんです!きっとみんなも喜びます」
「良かった!プレゼント交換するんだよね?ハルくん。よかったらエリちゃんのプレゼント一緒に選んであげてくれないかな?」
「わかりました。相澤先生とも相談してみます」
「ありがとう。よろしくね」
ということで今に至る。
相澤先生の運転する車の後部座席にエリちゃんと二人で並んで座って目指すは近くのショッピングモール。
ただ念には念をということで相澤先生以外にも何人かの先生やプロヒーローたちも巡回してくれているらしい。
「ハルさん。くりすますかいって何をするの?」
「そうだな……みんなと一緒に特別なご飯を食べるんだ。例えば…鶏肉を甘辛く味付けをして焼いた料理とかピザとか……あ!ケーキも食べるな」
「ケーキ……!」
「うん。砂糖って俺の友達がケーキ作るの上手でさ。苺がいっぱい乗った甘くて美味しいケーキを作ってくれるって」
そういうとエリちゃんは口からよだれを垂らしながら嬉しそうに笑顔を零す。
そんなエリちゃんの笑顔につられて俺も笑った。
「とうちゃーく」
「とうちゃーく!」
「休日は人多いな…迷子になるなよ」
「「はーい」」
まだ寮生活が始まる前に何回か来たことがあって、林間合宿前にクラスのみんなとも来たショッピングモール。
あの時は死柄木と緑谷が接触して買い物どころじゃなくなったっけ……。
今回はクリスマス会のプレゼントを探しに来てる訳だから雑貨屋とか文房具屋とかが良いかな?
「?」
ふと視線を感じて顔を上げる。
するとそこには変装したミッドナイト先生がいて、俺に向かってひらひらと手を振ってきたから軽く会釈で返した。
よくよく見てみるとミッドナイト先生以外にも雄英の先生やヒーロー達が数名遠巻きから俺らの様子を見守ってくれていて万全の体制を整えていてくれていた。
本当にありがたい限りだ。
「(俺もエリちゃんが楽しんでもらえるように頑張るぞ!)」
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