明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 かぜの日(1/3)



寒かった冬が次第に終わりを迎えつつあり、心地よい暖かな風吹き始めた。
そんな中いつものようにツナと葵が登校していると山本と獄寺に出会い、4人で一緒に投稿することに。



「は…は……はっくしょん!!!」

「「「!」」」



まだ朝早く閑静な住宅街に葵の豪快なくしゃみが響き渡る。
そんな葵に他の3人は驚き目を丸くしながら見つめる中、当の本人は鼻水をずずーっとすすると花粉かなと呟いた。
だがツナは葵の顔を見てあることに気づく。



「あれ?なんか葵の顔赤くない?」

「え?そんなことないと思うけどな……」



ツナに言われて2人も見ると確かにこころなしかいつもより少し赤い気もしないでもない。
葵は指摘されて少し赤くなかった頬に手を当てて首を傾げた。
どこかぼーっとしているようにも見えたツナは心配そうに眉をひそめたが、心配させまいと葵はニッと笑った。



「ま、無理すんなよ」

「もし風邪ひいたりしたら10代目に伝染すなよ!伝染す前に速攻治せ!」

「あはは。獄寺、気をつけるな〜」



獄寺に対して返答する葵に3人はえ?と頭に疑問符を浮かべる。

よくよく見なくても葵は何故か獄寺ではなく電柱に向かって話しかけていたのだ。
電柱に間違えられた獄寺はなんとも言えない気持ちに襲われ拳をわなわなと握りしめながらオレは電柱じゃねーぞ!と怒った。
そんな葵にガーンとなりながらもツナは尋ねた。



「…でも本当に大丈夫?今ならまだ帰れるけど……?」

「大丈夫!オレ、風邪とかあんまり引かないから」

「…………」

「……ん?」

「葵……それオレじゃなくて犬」



目をゴシゴシとこすってみるとそこにはツナではなく可愛らしい犬がいた。
犬はわんと吠えると遊んでと言わんばかりに葵に飛びかかっていった。







あれから特に家に引き返すことも無く登校したのだが、時間が経つ事にどんどん体のダルさが増していた。
頭も痛くなってきて数学の先生の説明がまるでお経のように聞こえてきている始末。
このままではダメだと自身の頬をパチンと叩いた。



「(集中集中……!)」

「じゃあ、この問題を解ける人はいるかな」

「!(やばい、聞いてなかった……)」

「(オレには当たりませんように!当たりませんように!)」

「(こりゃ勘弁して欲しいのな…)」



葵はなんとか足掻こうと黒板に書かれた問題と睨めっこするがすぐに解けるものでは無いとわかりどうしようと焦っていた。
勉強があまり得意ではないツナや山本は先生に当てられないように視線を逸らしたり、教科書を立てて身を隠したりしていた。

突然の先生からの質問でみんな答えたくないのか教室が気持ち悪いくらいの静けさに襲われる。



「少し難しかったかな……」

「(けっ。こんなのすぐ解けるだろ――)」

「今日は……1番ボーッとしてる人に当てようかな――お、山下どうだ?」

「オレ……ですか?」

「山下なら解けるだろ?」

「んな……!」



当てられたくないと思っている時に何故か当てられてしまうのは何故だろう。
ツナや山本はなんとか難を逃れてよしっと小さくガッツポーズをしつつ、先生の言う通り成績優秀な葵なら大丈夫だろと安堵していた。

だが、期待に反して答えのわかっていない葵は先生からのプレッシャーに少し苦笑いを浮かべつつどうしようかと頭をフル回転させる……が、どうも上手く働かない。



「?(葵君が黙ってるの珍しい…)」

「(こうなれば当てずっぽうだ……!)えと……x=-4ですか?」



少しの沈黙の後、先生はにっこりと笑った。



「正解だ!流石だな」

「!(当たっちゃった……!とりあえずよかった)」

「(流石!あんな難しい問題も解いちゃうなんて……後で教えてもらおうかな)」



とにもかくにも無事に答えることが出来てほっと胸を撫で下ろす。
そんな葵を見て先生は顔が赤い気がするけど大丈夫か?と声をかけるが、クラスメイトにも心配かける訳にはいかないとニッといつものように笑いながら大丈夫ですと答えた。

その様子を心配そうに京子は見ていた。



「(葵君……?)」






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