明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 標的14 道場破り(1/4)



「ふわぁ……(んー…眠いな……)」



ある日の授業中に葵は先生にバレないように欠伸をこぼす。
昨日、9代目にツナとの生活を報告書にまとめていたのだが思ったより時間がかかってしまい寝るのが深夜になったのだ。
そのため、今眠気に襲われている始末。
いつもなら集中できる授業も今日はふわふわと夢心地で受けていた。

するとガラッと突然教室の扉が開けられ、何故かクラスどころか学年すら違うボクシング部主将の了平が現れた。



「お兄ちゃん?」

「(なんで笹川さんが……京子ちゃんに用事かな?…………ああ、ダメだ。ちょっとだけ眠ろう……)」



葵が眠気に負けて目を閉じた時だった、了平はツナと葵はいるかと尋ねる。
突然了平が入ってきたことに1-Aのクラスメイトや先生は驚きを隠せずにいて、名指ししたツナも例外ではなかった。

呆気に取られていた先生が我に返ると迷惑そうに言った。



「ぼ、ボクシング部の笹川じゃないか。授業中に何か用か?」

「はい。実は話は一昨日に…いやおとつい……?おととい?」

「ん?(お兄さん、やけに今日は神妙な気が…)」



いつもと少し様子の違う了平にツナは首を傾げた。

一方名指しされたもう1人の葵はと言うと机に顔を突っ伏してすやすやと眠っていた。
近くの席の獄寺はそんな葵にはあ?と顔をしかめる。



「……何寝てんだ、おめーは」



軽く頭を小突くもののむにゃむにゃと起きる様子はなく無防備に寝ている姿に獄寺はため息を吐きつつ了平に向き直った。



「……ええい、まどろっこしい!!沢田と葵を出せ!!」

「ひぃっ!?」

「(やっぱいつもと一緒だーーーっ!)」



いつもの大声の元気な了平に戻ると、先生の胸ぐらを掴みつつ大声で叫んだ。
先生はもちろんのことクラスメイト達もその様子に怯えている始末。

これ以上、クラスで暴れられては困るとツナは渋々了平の前へと足を進める――が、もう1人の葵は一向に出てくる気配はない。



「沢田ー!葵のヤツはどーした!!」


「お、お兄ちゃん!」

「ひぃっ!」

「こいつならすっかり夢心地だぜ、芝生頭」



了平の気迫に怯えるツナに変わり獄寺は寝ている葵を指さしつつ答える。
なぬっと声を漏らし、少しだけ考える素振りを見せたと思うとズカズカと葵の元に向かい躊躇いもなく寝ている葵を担ぎあげた。

そしてそのまま何も無かったかのようにツナを連れて教室を出ようとしたが、さすがに獄寺に止められた。



「って、お前は何してんだっ!?」

「見て解らんのか!」

「(解りますけど……流石に……)」

「バカか!寝てるヤツ担いで行くのも訳分かんねーし、そもそも学年違うだろ!なんでここにいるんだ!!」

「それは沢田と葵に用事があるからであって――」

「わー!もう2人ともストップストップ!」



無限ループでケンカし続ける未来が見えたツナは慌てて仲裁に入ると、比較的言うことを聞いてくれそうな獄寺をなだめ、なんとか納得してもらい席に戻らせた。
了平はその様子を満足そうに見た後、先生にものすごい気迫で2人を借りていくことに対する承諾をもらっていた。

妹である京子は兄の暴走に恥ずかしそうに顔を赤らめながら俯いていたとか。



「いくぞー!沢田ーー!」

「え?お、オレと葵に何か…?」

「実は頼みがあってな………ええいまどろっこしい!!説明は後だ!!とにかく着いて来い!!」

「なっ!」



了平はツナ達を連れてどこかに行ってしまったが、嵐が過ぎ去ったあとのように1-Aの教室に沈黙が訪れた。





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