明日晴れるかな(日常編) | ナノ

 標的10 映画館(1/4)



「映画館?」

「うん、山本が今流行ってる映画の無料チケット持ってるから明日一緒に行こうって」

「せっかくの機会だ。お前らでファミリーの仲深めてこい」

「うん!ありがと、リボーン」

「いや、だからファミリーじゃないし!!」



どうやら映画の内容はお楽しみらしくツナも山本から何も聞かされてないらしい。
でもせっかく山本が誘ってくれてるならとろくに映画の内容も確認せずに承諾する。

次の日、待ち合わせ場所へ2人は向かう。



「10代目ー!」

「よっ!葵、ツナ」



すると獄寺と山本はもう来ていたらしく、笑顔で手を振っており、そんな2人に駆け寄った。



「ごめん!遅くなって――」

「おい、葵。10代目に迷惑かけてたんじゃねーだろうなあ?」

っ……それは……」

「ち、違うよ。オレが――!」

「まーまー」



ニッと笑いながら仲裁に入る山本に獄寺はちっと舌打ちを鳴らす。



「そういえば特に何も言わずに来たってことは、映画大丈夫ってことだよな?」

「何?大丈夫って――」

「あれ?オレ、ツナに言ってなかったけなー?」



ツナと葵は首を傾げる。
その様子を見て山本は少し悩んだような素振りを見せたあと、ニッと悪戯っぽく笑った。



「ま、いーや!2人とも心臓とか弱くないだろ?」

「う、うん……?」

「オレも大丈夫だけど……?」

「なら安心してください。10代目!」



いつものように獄寺は笑ったかと思うと、小声でぼそっと「死にやしませんよ」と呟く。
その呟きを聞き逃さなかったツナと葵は何やら嫌な予感がした。



「死にや、しない……?」

「ご、獄寺……どういうこと……?」

「だ、大丈夫だ!………………多分」

「(多分って何ーー!?)」



どんどんと不安が募る中、そんな2人の腕を山本は引っ張りながら上映時間ギリギリだと行って映画館へと走る。

そして映画館に着くとポップコーンやジュースなどを買うと指定された席へと向かう。
そして左から山本、葵、ツナ、獄寺の順に座った。



「ど真ん中じゃん!よく見れそうな席だな」

「だろ?」



嬉しそうに山本はニッと笑った。
だが、この席が裏目に出ることを葵とツナはまだ知る由もなかった。

雑談を交わしながら待っていると上映時間に。
真っ暗になった館内を照らすのはスクリーンのみで、次々と映画の予告が映し出されていく中、ある注意事項に目を見張った。



【心臓が弱い方・体に障害のある方・小さいお子様が居る方はすぐに係り委員に申し付け下さい】

「……へ?」

「何で映画なのに、こんな注意事項が?」

「山本……もしかしてこれホラーだったり……?」

「あはは。そのまさかなのな」



山本の返答を聞いた瞬間、葵はピシッと石化する。
そしてツナと共に館内から出ようとしたところを葵は山本に、ツナは獄寺に阻止され叶わず……。



「(嘘だろ…………オレ、ホラー苦手なんだけど……!!!)」





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