「勝呂、おなかすいた」ぐるぐる唸るわたしのおなかの虫に、勝呂はげんなりしたかおをした。「おまえ、いま食い終わったばっかりやろ」焼きそばパンをほおばりながらためいきがひとつ、勝呂のくちからこぼれおちる。となりでわたしは、からっぽになったおべんとうをみつめながらまたひとつおなかをならす。「おなかすいたおなかすいたおなかすいた!」「るっさいねんど阿呆が!」ばこんと、勝呂がわたしのあたまをはたいた。おなかからもあたまからもからっぽなおとがするわたし。「レディーのあたまたたくな!」「どこにおんねんレディー」「ここ!」なかええなあなんて志摩くんと子猫丸くんはわらうけれど、勝呂はもうすこしわたしのことをおんなのことしてみるべきなんじゃあないかと、いつもおもうのだ。「勝呂のにわとり野郎!」ひょいと勝呂の手のひらから焼きそばパンをうばいとる。ばくん、ごくり。わたしの胃袋にきえていった焼きそばパンをみて、勝呂はあんぐりくちをひらいたままかたまった。「おおま、いま、かっかん、間接キ、」ぱくぱくとくちをうごか
しながら勝呂はたくさんピアスがついたみみまでまっかにした。かんせつき?なんのはなしかわからなくて首をかしげる。焼きそばパンをたべられてしまったのが、そんなにショックだったのだろうか。わたしのおなかのなかで泳いでいる焼きそばパンをあたまにうかべる。「勝呂、おいしかったよ」わたしがつぶやくと、勝呂はますますかおをあかくする。「このど阿呆!」まっかな勝呂はわたしのみみをつんざくくらいにおおきなこえでさけんだかと思えば、どたばたと慌ただしく教室をでていってしまった。「坊にも春がきたなあ」志摩くんがけらけらわらう。春かあ、そういえば、もうすぐ桜餅の季節だ。


飛び出せ三角形
May 4
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