まっしろなシーツのうえで、ふたり。クリーム色の毛布のなかで、風介はなんにもいわずにわたしのてのひらをにぎった。おんなのこみたいにきれいなかおをしていても、やっぱり風介のてのひらはおとこのこのもので、わたしはゆっくり風介のてのひらをにぎった。わたしのだいすきな、きままで自由でおだやかで、やさしいおとこのこ。
「なんか、風介は猫ってかんじがするね」
「そうかな」
「よくわからないけど、ねむってるときとか、猫みたい」
「きみもだよ、きっと」
つぶやいて、風介はやわらかそうな髪をがしがしと梳いた。いまのもなんだか猫みたい。そうかな。うん。じゃあ、わたしの来世は猫かもしれない。そうだよ、きっと。きみもだよ、きっと。
さ、もうねむろう。風介が言って、わたしをすこし引きよせた。あったかくって、目蓋をとじる。「おやすみ、またあした」風介のやわらかいこえが耳にふれて、しあわせがじんわりわたしのからだのなかに溶けてゆく。きっと来世は猫になる。そうしたら、猫になった風介のとなりで、いまみたいにいっしょにねむることにしよう。
「おやすみ、またあした」
多幸症
Jul29