「すき すげーすき」
坂田がふにゃりとわらってわたしの髪の毛にゆっくり頬をよせた。タオルケットのなかで猫みたいにまるまってわたしをだきしめる腕に、頬をよせかえす。「さかた?」「んー」「ねむいねえ」「うん おれも」とくんとくん しずかな振動に耳をすませて、きづく。わたしの耳は坂田の左胸あたりにあった。ちゃんといきてるんだなあって、なみだがでそうになる。わたしも坂田も、息して、ごはんをたべて、いっしょにねむる。
「なあ」
「うん?」
「おれたち付き合ってどのくらいだっけ」
「おぼえてないよ」
「だよなあ」
「うん」
「そろそろさあ」
「うん?」
「けっこん する?」
「うん …ん?」
コンビニいく?っていつも言うみたいに、それとおんなじ声で坂田がつぶやいたので、わたしの目はまるくなる。「ちょっと さかた?」ごそごそ 背中にまわるふたつの腕からぬけだして、坂田のかおをのぞきこんでみると、だらしなくよだれをたらしてしあわせそうにねむる坂田がいた。「 ばかみたいなかお」すうすうと、坂田の寝息がしんとした部屋にやさしくきこえる。なんだか頬がゆるんで、おなかの奥がこそばゆくなった。坂田の頭に手をのばす。くるんと丸まる癖毛がいとしい。
「けっこん しようね」
宇宙にチーク
Jun 11