「よー、元気にしてた?」
「そりゃこっちの台詞だ」


あれから何の連絡も寄越さず、ただ見かけたという情報だけで、生きているのだと確認していたのだ。どうやって毎日を過ごしているのか、飯はちゃんと食べているのか。心配しないわけがない。イヴが不安がらぬように明るく振舞っていたが、こうして再会出来て、元気だと確認出来て、安堵のあまり腰が抜けそうだ。トレインに笑われるだろうから、そんな姿は見せないが。


「野良猫の面倒をみる身にもなれ、唐突すぎるんだお前は」
「仕方ねぇだろぉ、野良猫は自由で気紛れなんだ」


以前と変わらぬ笑みを浮かべて、トレインはミルクを一気に飲み干す。


「また、」
「ん?」
「また何処かに、行くのか?一人で」
「そうだなぁ、まだ決めてねぇけど…、…多分そうだろうな」


遠くを見つめるその瞳には、自分達の知らぬ何かが映っているのだろう。あの時、何があったのか。知らないし、聞くつもりもない。聞いても無駄だと分かっているからだ。けれど。


「お前が何処にいても分かるような、そんな首輪が欲しいぜ」
「はぁ?何だよそれ」


ずっと一緒にいたい、離れたくないと言っても、無理なのだろう。何故ならこいつは、自由気ままな野良猫なのだから。

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