真っ暗で上も下も分からない世界。目が覚めたらそこにいた。記憶を辿ると自分は死んだ筈、ならば此処は死後の世界だろうか。冷静さを取り戻した頭はただ己の失言を悔やむ。消える瞬間まで彼に募らせていた感情。あれは一体何だったのだ。ただただ込み上げてくる熱を吐き出した。それだけだった。なのに傷付けた。傷付けてしまった。傍にいた仲間を見ると、此処が何処かという不安より、自らの行動を後悔しているようだ。無理もない、自分とて同じだ。
と、肩をとんとんと叩かれた。誰だと振り返ると、そこにはいつもと変わらぬ彼が立っていて。


「どうしたんだ、みんな」
「じゅ、十代!?」


驚きに大声を上げると、気付いたのかそれぞれが喜びを露にする。つい今までの気持ちを消し去って、仲間と再び会えたことに。


「お前どうして!いやそれより、此処は何処なんだ!?」
「んー、此処は12の次元のうちの1つだよ」
「何故俺達はそんなところに…」
「用済みだから」
「は?」


にこにこと明るい笑顔を見せる彼は、正真正銘自分の知る男だ。けれど妙な感覚が身体を包み、違和感を感じさせる。太陽のように眩しい笑顔が、不気味に見えた。ただの勘だとも思ったが、みんなも同じことを思っているようだ。


「……お前、誰だ」
「何を言ってるんだよ万丈目、俺は遊城十代だろ」
「あいにく俺は茶番に付き合うつもりはない、十代は何処だ」


キッと睨むと相手も冗談ではないと分かったらしい。やれやれと頭を振り、大袈裟に溜め息を吐いた。そして一度目を閉じ、次に開かれた目は、金色に輝いていて。ぞくりと背筋が寒くなる程、冷たい瞳だった。


「だ、れだ、お前」
「我が名は覇王」
「覇王…?」


ゆらりと暗闇が彼の身体を包み込み、衣服は鋼鉄の鎧に変化する。そして彼はデッキからカードを一枚ドローし、こちらに見せた。


「これは超融合のカード」
「超融合、だと?」
「貴様等には超融合を完成させるため、そして遊城十代の心に闇を創り上げるため、協力してもらった。此処に送ったのはユベルのようだが、まあちょうどいいだろう」
「ちょ、ちょっと待て!何を言ってるんだ!?お前は…」
「貴様等に割く時間は僅かしかない、すぐに済ませる」


歪な形をしたデュエルディスクを展開させ、覇王と名乗る彼はデュエルを始めようとする。状況が理解出来ぬまま、刻一刻と時間は進んでいった。

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