シック・ラバー | ナノ


▼ ハニー・ラバー

瑞貴が学科の飲み会に行った。以前ベロベロに酔っ払う事件(?)があったせいで、飲むなと言い聞かせていたが、まぁ折角の飲み会だしちゃんと自分でセーブするように注意はしたし、今回くらい許してやるかと思っていた。

しかしまぁ当然、そう上手くいくはずがないわけで。

「えへへぇ、たらいまぁ」
「…お前な」

瑞貴の部屋で帰りを待っていた俺に、へらへら笑いながら抱きついてくる酔っぱらい男。

どうやら俺の注意は聞き入れられていなかったようだ。ふざけんなこいつ。

「おかえりは?おかえりって言ってよぉ」
「てめぇ…そんなになるまで飲むなって言っただろ」
「らって、すずしまがもっと飲めっていうから」

鈴島…あの一番仲のいい奴か。他人の言うことなんかほいほい聞きやがって。まぁこいつのそんな素直なところは結構す…いや、なんでもない。

とりあえず必要以上にくっついてくるのをやめろ。無理矢理その体を引き剥がす。

「やぁっ!なにするんら!」
「着替えろ。そんでもう寝ろ」
「ふみくんがやって」
「なんでだよ。それくらい自分でやれよ」
「やってったらやって!」
「…」

はぁ。溜息を吐きながら渋々承諾した。このまま拒否し続けていたら切りが無い。

着ていたTシャツ裾に手をかけ、そのまま上に引っ張り上げる。白い肌が目に飛び込んできた。

「んっ」

あ、やばい。無意識のうちに手を伸ばしてしまった。甘い声で我に帰る。

「ふみくん…」
「…そんな顔で見んな」

上気した頬。潤んだ瞳。上擦った声で呼ばれる名前。くそ、可愛いなこいつ。

「んぅ、んん」

物欲しそうに震える唇にキスをすれば、瑞貴は鼻にかかったような甘えた吐息を漏らした。

それにまた興奮を煽られて、どんどん深くなる口づけ。くちゅくちゅと舌を絡ませながら、直接肌を撫で回す。

「ん、ふ…っ」
「…もうおしまい」

これ以上はやばい。確実にセックスになだれこんでしまう。

そう思って口を離すと、瑞貴はそれを追いかけるように顔を近づけてきた。

「やら、やら、ふみくん、おねがい」
「…」
「もっとぉ」

ちゅ、ちゅ、と何度も繰り返し吸い付いてくる。熱を帯びた柔らかい感触に、ゾワリと背筋に何かが走った。

駄目だ。一度おっ始めてしまえば、こいつは疲れて寝てしまうまで延々と求め続けるだろう。明日は午前中からバイト。出来れば体力を使うことは避けたい。

避けたい、のに。思考はどんどんと堕ちていく。

「瑞貴…」

自分でも気持ち悪いと思うような溶けた声。とてもじゃないが他の人には聞かせられない。

こいつをとろとろになるまで愛したい。泣かせたい。ぐちゃぐちゃになって混ざり合いたい。

そんなことを考えているのが分かったのか、瑞貴はすっかり蕩けた表情で身を預けてきた。

「ふみくん、ふみくん」
「…」
「あんね、今日ね、おれ、ふみくんのことみんなに話したんよぉ」
「は?俺?」
「そしたらふみくんに会いたくなっれ、はやく帰りたいなって思っとった」

どんな話をしたというんだ。まさか余計なことを言ったんじゃあるまいな。

「ふみくん、すき、すき、らいすき」

聞きたいことは沢山だが、赤い顔で胸に擦り寄ってこられてはもう理性なんか吹っ飛ぶわけで。

「んっ」
「だからお前が酒飲むの嫌なんだよ」
「あ、ふ、う…んんっあ、ふみく…」
「可愛すぎてめちゃくちゃにしたくなる」

くにくにと指の先で乳首を転がし、首筋に舌を這わせる。

もう無理だ。やりたい。抱きたい。今すぐ突っ込みたい。

「あんっん、いい、いいよ、してぇっ!めちゃくちゃにしてっ!」
「…馬鹿」

何言ってんだ。いくら酔っているからといえ、そんな声でそんなこと言われたら抑えなんてきかない。

「んぁっ、耳やらぁ、ああっくちゅくちゅしないれぇ…」
「気持ちいいくせに」
「ひやぁぁっあっだめ、だめ」

耳の穴の中に舌を突っ込み、わざと水音をさせながら執拗になぶった。それだけのことで大袈裟なくらいビクビク跳ねる身体。

押し付けられる股間は既に屹立していたが、それを無視して耳だけを犯す。痺れを切らしたのか瑞貴は悲痛な叫びを上げた。

「あぁぁっふみく、ふみくん、も、さわって、さわっておねがいぃ!」
「どこを?」
「ここぉっ!」

手を掴まれ、辿り着くは勃起したペニスの上。酔っているためいつもより勃ちは悪いが、ズボン越しでもはっきり分かるくらい硬い。

「勃ってる。そんなに気持ちいい?」
「うん…」
「もっと気持ち良くしてやるよ。ズボンもパンツも自分で脱げるな?」

何度も頷いて、素直に下半身を露出させる瑞貴。先走りでぐっちゃぐちゃになったペニスがぶるんと姿を現す。

「ほら、おいで。触ってやるから」
「んっ」

俺はあぐらをかき、その上に瑞貴を座らせた。

「ひぁぁぁっ!!」

ぬるぬるになったそれにゆっくり指を這わせれば、大きな嬌声が上がる。

「ああっあっあっ、ん、やぁっ」
「やじゃないだろ。嘘つき」
「ん、ふぁあっ、もっろ、もっろぉ!」

手全体を使って汁を馴染ませるように扱き、もう片方の手で玉を揉む。

ぐちゅぐちゅとひどい音が耳を犯し、自分も痛いくらいに勃起していくのが分かった。こいつ、エロすぎるんだよ。

「ああぁぁぁっん!先っぽ、だめ、だめぇっ!」
「可愛い、瑞貴」
「ひうぅっ!あっ、やだ、やだ出る、出ちゃうよふみくんっ」

首を振りながら乱れる姿にますます加虐心を煽られ、駄目だと言われた先端を重点的にいたぶる。

「いやぁぁぁぁっ!いくうぅぅぅぅっ」

尿道口に爪先を潜り込ませれば、ぶしゃっと白濁が噴き出した。

「は、ぁあ…っ、やら、やらぁ…」

最後の一滴まで搾り取るかのごとくサオを擦る。その度に瑞貴の身体はぴくんぴくんと痙攣した。

「ふ、んん、ぁ、あっ」

激しい絶頂の後に触られるのが辛いのだろう。嫌だと涙を零す奴をあやすように口付ける。

鼻を鳴らし舌を絡められ、またぐちゃぐちゃにしてしまいそうになるのを必死でこらえた。

「瑞貴」
「んぁ…ん、なぁに?」
「お前、酔ってるからって他の人にこんなことさせんなよ」

こいつの乱れた姿を見ていいのも、溶けた声を聞いていいのも、熱い身体を触っていいのも俺だけだ。

「ふみくん、すき」

…いや答えになってないし。

へらりと笑って抱きついてくる瑞貴。その身体をきつくきつく抱きしめ返した。

どうしてこんなに愛おしいんだろう。心臓がどうにかなってしまいそうだ。

可愛い可愛い俺の瑞貴。全部全部俺だけの瑞貴。

「俺も、好きだ。大好きだ」

自分でもおかしいと思う。こんな甘い言葉、どうしたって俺には似合わない。

でもそれでも、何度だって伝えたい。お前が好きで好きで仕方ないんだ。

「瑞貴…」

抱き締めていた腕を少し緩め、手のひらで背中を撫ぜる。もう無理。早く入れたい。一つになりたい。

しかし。

「…マジかよ」

反応を見せない身体。耳元で聞こえる穏やかな吐息。

…こいつ、寝てやがる。

「ふざけんな…」

お前は一回出したからそりゃすっきり気持ち良く眠れるだろうけど、こっちはまだビンビンなんだよ!

一人で満足しやがって…だから飲みすぎんなって言ったんだ。もう許さねえ。絶対絶対絶対二度と飲み会なんて行かせてやるもんか。

「はぁ…」

一人虚しく後処理をしながら、俺は幸せな溜息を吐いたのだった。


end.




ぼたんさんへ

瑞貴が可愛くて仕方ない日富美の話でしたが、いかがでしょうか!
ひふみは酔っ払ってる相手だと油断して結構可愛いとか好きとか言っちゃう。

リクエストありがとうございました!楽しかったです!

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