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11th Jan 2021

小ネタ

夏「完……」
完「……」
夏「(集中してるな。帰ろうと思ったけど、もうちょい待つか。ジュースでも買ってこよう)」

A「あれ、なっちゃんまだ帰らないの?」
B「もう片付け終わったよ」
夏「ん」
A「完治か」
B「明日初めて通し稽古だもんな。また瞑想してんのか」
夏「瞑想って。台本と睨めっこしてるだけだろ」
A「健気だねぇ全く。俺がジュースを買ってあげよう。んで後で完治に請求する」
B「いいなそれ。俺はお菓子やる」
夏「いいよ……自分で買うよ……」

A「完治はさ、卒業しても多分ああやって演劇続けてくじゃん」
夏「うん」
A「さびしくないの?」
夏「さびしいって?」
B「今みたいに、ほっとかれてるのがってことだよ」
夏「さびしくないよ。ああいうときの完治見てるの好きだし」
A「今は部活の範囲内でやってるけど、本気でやろうと思ったら絶対こんなもんじゃないと思うよ?今よりもっと時間がなくなったらどうすんの?」
B「ずーっと稽古、ずーっと公演、そんなんばっかだよ」
夏「どうするって……一緒にいたいとは思ってるよ」
B「ついてくの?」
夏「うん」
A「海外でも?」
夏「ついていくよ」
A「揺るぎないな……」
B「俺らの歳でこんだけ人生固まってるってすげーよ」
夏「人生……とか、そんな大それたことは考えてないけど」
A「結婚式には呼んでな」
B「俺も。スピーチしちゃる」
夏「いや、流石に式とか無理だろ」
B「結婚することを疑わないところが流石」
夏「結婚っていうか、ずっと一緒にいたいっていう僕の願望込みというか」
A「白タキシードの完治見たくない?」
夏「それは見たい」
B「即答」

完「ここにいたのか」
夏「完治」
完「ごめん。ずっと一人で待ってたんだろ」
夏「平気。AとBが途中までいてくれたし」
完「そっか」
夏「帰る?」
完「うん。なんかジュース飲む?」
夏「いいよ。さっきまで飲んでたし。お腹ちゃぽちゃぽなる。自分のだけ買えば」
完「ん」
夏「……」
完「……夏?」
夏「なに?」
完「……」
夏「なんだよ」
完「なんでもない」

完「ん」
A「え、何これ。コーヒー牛乳?」
B「ありがとう……?」
A「どしたの完ちゃん」
完「夏、昨日変じゃなかったか」
B「昨日?」
完「俺を待ってるとき」
A「あぁ、三人でジュース飲んでたときのこと?何か変だったっけ?」
B「いや?別にいつも通りだったけど」
完「絶対気のせいじゃない。変だ」
A「具体的にどう変なのさ」
B「完治じゃないんだから、夏生の微妙な変化なんかわかんねーよ」
完「憂いがあったというか、どことなく上の空だったというか」
B「えー……なんだろ」
A「あれじゃね?将来の話ちょっとしたじゃん」
完「将来?」
A「完治が今より演劇に打ち込むようになってもさみしくないのかーって」
完「夏、なんて……」
A「さみしくないよって」
B「どこまでもついて行く的なこと言ってたよな」
完「……」
A「あっ、明らかに機嫌よくなった」
B「これもしかして巧妙な惚気なの?」
完「いや、様子がおかしかったのは確かだ。何か悩んでる風だった」
A「うーん……悩みねぇ……」
B「あ」
A「何かあったっけ?」
B「タキシード」
A「あぁ……絶対それ。それしかない」
完「?」

夏「(お色直しするとしたら和装は欠かせないよな。いや、最初から和装……?となると神前式か。いやいや、タキシード絶対着て欲しいしなぁ……)」
完「夏」
夏「(そもそも神前式と教会式ってどう違うんだ?あ、人前式ってのもあるんだっけか)」
完「夏生」
夏「(んー……どうせなら、気楽なやつがいいよな……余興で寸劇とか……?)」
完「夏!」
夏「うわっ!?かかかかか完治、いたなら言え!!!」
完「何回か呼んだ」
夏「あ、そう……」
完「俺はどれでもいいよ」
夏「え?何が?」
完「神前式でも教会式でも人前式でも」
夏「なっ、なぜそれを……!」
完「俺、タキシード着こなせるかな」
夏「あいつらぁぁぁ……喋ったなぁぁぁ……!」
完「俺の着るやつは夏が選んで。夏のは俺が選ぶ」
夏「はぁぁもぉぉぉ……馬鹿みたいな一人遊びに本気出してくんなよぉ……」
完「馬鹿じゃない。嬉しい」ぎゅ
夏「ひっ、馬鹿、みんな見てるから!!!」
A「せんせぇー、完治くんと夏生くんがサボってまーす」
B「部室の鍵閉め一週間の刑がいいと思いまーす」


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