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23rd Jan 2019

小ネタ

八「寒い。この季節に外で体育とか馬鹿じゃないの」ガタガタ
聡「お前、肉薄いからな」
八「肉言うな。体質だから仕方ないでしょ。てか村上は寒くないの」
聡「寒いよ」ずびっ
八「あーもう……鳴瀬どこ行ったの……恋人がこんなに凍えてるっていうのに」
聡「鳴瀬ならさっき先生の手伝いで体育倉庫に向かって行ったけど」
八「もぉぉ……先生の好感度まで上げるつもり?俺以外にモテなくていいのに!てか守山はどこ行ってんのさ」
聡「あそこで走り回ってる」
八「何あのはしゃぎっぷり……信じらんない……」
聡「あいつ、体動かすの好きだからな」
八「村上はほっとかれてていいの?」
聡「別に。見てる方が面白いし」ずび
八「あーもう鼻出てるじゃんかこの子!ほらこっち向いて!」
聡「う」

ひ「こら!!そこ!!いちゃつかない!!」たたたっ
八「うわ、来るの早」
ひ「うちの子にベタベタ触らないでくれます?」
八「ベタベタって。村上のこと放っといたのは守山でしょ。この子鼻出てるんだけど」
ひ「え!?風邪!?大丈夫?こっち向いて」
聡「いい。自分で拭ける」
ひ「寒いよね?俺のジャージ着てていいよ」ぼすっ
聡「むぐ」
八「ひ……っ、半袖になるとか……正気……?」
ひ「走ればへーきでしょ。熱くなるし」
八「脳筋の発想じゃん……」
ひ「失礼な。てか八名川そんなに寒いの?俺教室行ったらもう一枚長袖ジャージあるけどいる?」
八「え……いいの?」
ひ「サイズ一緒か俺がちょっとでかいくらいでしょ。いいよ」
八「何、ちょっと今日の守山好感度ダダ上がりなんだけど」
ひ「後でジュース奢って」
八「奢る。ありがと」
ひ「じゃ取り行ってきまーす。行こ、聡太郎」
聡「俺も行くのか……」
ひ「もちろん」

鳴「あれ、村上。八名川といたんじゃなかったか」
聡「鳴瀬」
ひ「八名川なら外で凍えてる。俺のジャージ貸そうと思って取りに行ってるとこ」
鳴「ジャージ?」
ひ「長袖のね。俺、ちょうど今日2枚持ってたから」
鳴「そんなに寒がってたのか、あいつ」
ひ「やばいよ。震えてた」
鳴「……俺のを貸すから、お前達は戻ってていいぞ」
聡「!」
ひ「!」
鳴「なんだ。二人揃って驚いた顔をして」
ひ「いや、なんでもない!ね、そーちゃん」
聡「あ、あぁ。なんでもない。戻るぞひかる」
鳴「?」

八「あ、やっときた。おかえり二人とも」
ひ「八名川……ごめん。あと数分耐えて」
八「は?」
聡「良かったな八名川」
八「良かったって何が……てかジャージ持ってきてくれるんじゃ」
ひ「それがね、聞いてくださいよ奥さん!」
八「奥さんって誰よ。俺?」
聡「教室に戻る途中、鳴瀬に会って」
八「鳴瀬に?」
ひ「八名川が凍えてるから俺のジャージ貸すために取り帰ってんの〜って話したら、鳴瀬ってばなんて言ったと思う?」
八「な……なんて言ったの」
ひ「俺が貸すから俺達2人は戻ってろって。独占欲丸出しって感じ。ねー聡太郎」
聡「うん」
八「ほ、ほんと?鳴瀬、そんなこと言ってたの?」ぽぽっ
聡「(八名川のこういうとこ可愛いよな)」ひそ
ひ「(鳴瀬も普段からもっとデレてあげればいいのにね)」ひそ



八「……」ぶすっ
聡「休み時間の度にこっちに来るなよ。しかもそんな仏頂面で」
八「だって、鳴瀬の顔見てると怒っちゃうから」
聡「喧嘩?」
八「違う。俺が一方的に怒ってるだけ」
聡「ヤキモチ案件か」
八「ヤキモチ案件て何」
聡「鳴瀬が何気にモテて、お前がモヤモヤってしてる案件」
八「……そーだよ!」
聡「そんで?鳴瀬はなんて?」
八「……それ、俺も毎日同じこと思ってるって言ったらどうするんだ?って」
聡「おお。鳴瀬も妬いてるってこと?」
八「わかんない。鳴瀬はわかりにくいから」
聡「でもそう言うってことは本心なんだろ」
八「そうかなぁ……だったらいいなって思うけど」
聡「それでお前は一体何に怒ってるんだ。今の話だと怒るポイントなんてなかったぞ」
八「もぉぉぉぉ!!好き!!そんなこと言われたらもっと好きになる!!……って怒ってんの」
聡「何だそれは……早く鳴瀬のとこ戻れば?」
八「だめ。無理」
聡「なんで」
八「こんな風にうじうじしてる俺なんてかっこ悪いでしょ?」
聡「別に鳴瀬はそんなこと気にしないだろ」
八「俺が気にする。鳴瀬の前ではかっこいい俺でいたい」
聡「すごく今更だと思う」
八「なにそれひどい」
聡「好きな奴の駄目な姿、俺はすごく好きだけどな」
八「守山のこと?」
聡「他に誰がいるんだ?」
八「村上ってかわいいよね」
聡「何が」
八「たまに思い出したようにデレるとこ。今みたいに」
聡「デレって……」
八「俺もツンツンしてみようかな?」
聡「また無理なキャラ付けを」
八「はは、だねぇ。好きなものは好きだからね」
聡「俺は八名川が羨ましい……ときもある」
八「なんで?」
聡「素直だから」
八「よしよし」むぎゅ
聡「うぐ」
八「村上は素直じゃない方がかわいいと思うよ」
聡「(……こいついつもいい匂いするな)」



ひ「八名川ってさ」
鳴「?」
ひ「なんか……可愛いよね」
鳴「……」
ひ「あ、変な意味じゃなくて。そんな複雑そうな顔しないでよ。俺にはそーちゃんがいるから大丈夫だって」
鳴「急に何の話だ」
ひ「いや……あのね、この間見ちゃって」
鳴「何を?」
ひ「鳴瀬が部活の日、たまに八名川が鳴瀬終わるの待ってるときあるじゃん」
鳴「ああ」
ひ「この間放課後にたまたま鳴瀬たちのクラスの前通ったらさ、八名川が鳴瀬の席で一人で座ってて何か書いてて」
鳴「……」
ひ「何してんのーって声掛けたら、ラブレター書いてるって笑ってて」
鳴「……あぁ、あれか」
ひ「あれかって!ってことはやっぱほんとに書いてたわけね!」
鳴「ラブレターっていうかあれは……まぁ、そうだな、うん……」
ひ「八名川からそれ貰ってるんだ?」
鳴「貰ったことはある」
ひ「どんなこと書いてあんの?」
鳴「……」
ひ「ちょっとちょっとちょっと!!なんで顔隠すのさ!!」
鳴「いや……勘弁してくれ……」
ひ「鳴瀬が照れてる……!?八名川、一体どんな熱烈なラブレターを……!?」



八「部活お疲れ様。着替え、俺もついて行っていい?」だきっ
鳴「……」
八「鳴瀬?」
鳴「はぁ……」
八「えっ、なになにどうしたの?部活終わりのちゅーする?」
鳴「しない」
八「だよね」
鳴「……お前、最近隙ばかり見せすぎじゃないか」
八「隙?」
鳴「いくら気心が知れた仲と言えど、あんまり俺の知らないところで……」
八「……」
鳴「……いや、悪い。何でもない」
八「もしかして今、俺すごい嬉しいこと言われてたのかな」
鳴「……」
八「もう一回ちゃんと言ってくれないとほんとにここでちゅーするよ?」
鳴「……」
八「鳴瀬ってば。聞いてる?」
鳴「……」ちゅ
八「!!」びびっ
鳴「……」
八「えっ、えっ……!?」かぁっ
鳴「ふ」
八「な、なんで今キスしたの?」
鳴「八名川」
八「は……はい」
鳴「攻められると弱いから自分が先に押す、っていうのは俺にはもう通用しないのはわかるか?」
八「う……」
鳴「一回だけ噛み砕いて言う」
八「なんでしょう……」
鳴「守山と村上が相手でも関係ない。あんまり他の奴に可愛いところを見せるのはやめてくれ」
八「!!」
鳴「呆れるなら呆れていいぞ。悪かったな」
八「あ……呆れない!!」
鳴「そうか。帰るぞ」



八「はぁ……鳴瀬って本当に王子」
ひ「王子は八名川でしょ」
八「今俺の話はしてないの」
ひ「なんで休み時間の度にうちのクラス来るのさ」
八「今慣らし中だから」
ひ「何を?」
八「己の心を」
ひ「……何に対して?」
八「昨日の鳴瀬に」
ひ「何言ってるか全くわかんない」


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