小ネタ | ナノ

ADD



13th Oct 2016

小ネタ

深「完治くん、ちょっと俺に告白してくれません?」
完「俺葉山さんに殺されんのやだよ」
深「…今度舞台に出るんですけど、舞台ってやっぱドラマとかと全然違うじゃないですか。経験者の演技を参考にしようと思いまして。あの人は関係ないです」
完「あれ、舞台出んの?いいな…俺一番好きなのはやっぱ舞台の仕事だし。頑張ってね」
深「ありがとうございます。で、後学のために是非お願いします」
完「いや事情はわかったけど、それならなにも告白じゃなくてよくない?もっとあるじゃん。別の…ほらなんか…いい感じのかっこいい台詞とか」
深「えー…でもこの舞台恋愛が結構重要な要素で、感情の込め方みたいなの知りたいっていうか…」
完「葉山さんに言うみたいな感じでいいんじゃねぇの?」
深「…」
完「そんな嫌そうな顔しなくても」
深「俺あの人に好きとか言いませんもん」
完「え、まじで。そんなに好き好きオーラ出してんのに?」
深「出してません!っていうかしょっちゅう言うようなことじゃないでしょそれ」
完「俺めちゃくちゃ言うけど」
深「…」
完「言うってか、言っちゃうって感じか。自然と出るもんだろこういうのって」
深「人たらしだ…」
完「誰にでも言うわけじゃねーよ。言ってんの1人にだけだし」
深「さらっと惚気た…」
完「だから惚気じゃないって。俺とあいつの間ではそれが普通なの」
深「普通って…じゃあ夏生くんも完治くんに普段から好きって言うんですか?」
完「いや夏は言わないよ。絶対言ってくれない」
深「ほら!普通言いませんって!」
完「でも見てたらわかるから。毎日全身で好きって言われてるような感じ?」
深「…いつから付き合ってるんでしたっけ?」
完「中2」
深「ないない!ないですよ!なんですか十数年付き合ってて毎日全身で好きって!それ完治くんの幻覚でしょ!」
完「いやあるから。あいつめっちゃ俺のこと好きだから。深水くんもいつも見てるだろ夏の言動」
深「う…確かに…あっ、じゃあ中2から付き合ってるっていう完治くんの認識の方が間違ってて、本当はつい最近付き合い始めたとか」
完「そんなに俺信用ないのかよ」



完「えーと、んじゃあ…台詞は何て言えばいい?」※結局折れた
深「好きだ、でお願いします。シンプルに」
完「了解」
深「はい」
完「…」
深「…」ごくり
完「…好きだ」
夏「完治、もうやっと見つけ…」ガチャ
深「あ…」
夏「…何してるの?」
完「お前こそどこ行ってたんだよ」
深「か…完治くん、まずこの手を」
完「悪い。つい」
深「(やばい、二人っきりで手握りあって、好きだなんて言われてる場面…これはどう考えても誤解される!!)
あああの、ごめん夏生くん、俺が頼んだんだ」
夏「あぁ、そうなんだ。ドラマの練習?」
完「ドラマじゃねーよ。深水くん今度舞台出るんだって」
夏「えっ!是非見に行くよ!」
深「あ、りがとうございます…(あれ、案外普通…?)」
夏「深水くん?」
深「…あの、夏生くん…怒ってない?」
夏「怒る?どうして?」
深「完治くんに好きだなんて台詞言わせて…」
夏「あはは!そんなこと全然気にしないよ!大丈夫!」
深「え…でも…」
夏「僕と完治がそういう関係にあるってことと、完治にとっての演じる仕事は、別次元の話だから。僕に気兼ねなんてしなくていいんだよ」
深「夏生くん…」
完「夏は俺に愛されてることをちゃんとわかってるから大丈夫」
夏「ちょっと!何勝手に!」
完「事実だろ。俺、実際お前以外を好きになるつもりないし」
夏「…バカ。ここで言うことじゃないだろ」
完「場所なんかどこだっていいんだよ。伝わればそれで」

深「なんか…あの二人って俺の理想かもしれません」
葉「あの二人って…光瀬と夏生くん?」
深「お互いを本当に信頼し合ってて、感動しちゃいましたもん。葉山さんに爪の垢飲ませたいな…って」
葉「なんで俺なんだよ」
深「俺がファンサしただけで嫉妬するじゃないですか!」
葉「それはお前も同じだろ」
深「う…」
葉「あの二人には長い時間をかけてつくりあげた、二人なりのちょうどいい形ってものがあるんだよ。他の人が真似しようとしても絶対無理」
深「…俺と葉山さんだって軽く十年は一緒にいますよ」
葉「そのうちのほとんどはただの先輩後輩だっただろうが」
深「葉山さんが猫被ってましたからね」
葉「うるさい。お前も葉山さん葉山さんって語尾にハートマークつける勢いで懐いてきてたくせに」
深「つけてませんよそんなもの!」
葉「はー…」
深「なんですか溜息ついて」
葉「…俺だって嫉妬なんてみっともない真似はしたくねぇよ」
深「え?」
葉「でもこういうのは理屈じゃない」
深「理屈…」
葉「妬くものは妬く。好きな奴が他の人に好きだとか愛してるとか言ってたら、じゃあ俺にはどんな言葉向けてくれるんだって気にするのが俺なんだよ」
深「…ふ」
葉「笑うな」
深「今初めてあんたのことかわいいって思いました」
葉「お前な…」
深「あの葉山さんがそんな風に思ってくれてるなんて、俺も捨てたもんじゃないですね」
葉「調子乗んな」
深「まぁ俺は、なんだかんだでこれからもずっとヤキモチ妬きまくりだと思いますよ」
葉「それ、俺のこと好きって言ってんの?」
深「はい」
葉「…あっそ」
BACK


PREVNEXT
TOP