00
ぐちゃり、ぐちゃり。
耳に響く音は、酷く不愉快で、気持ち悪い。
肉を断つ音。骨を断つ音。健や筋肉やら内蔵やらの人間の肉を断つ、そんな、嫌な気持ち悪い、音。
アア、キモチワルイ。
血の臭いと、腐臭と、死臭と。
見ていてまったく気持ち良くないそれらが、耳に、鼻に、目に、脳髄に、五感すべてに焼き付いて、離れない。忘れられない。消えない。焼き付いたまま。
覚えていたくなんて、ない、のに。
何時までも何時までも脳裏に、身体に、焼き付いて、離れない。
「……あ、あ…あ、あぁあ…ぁ、…っ」
広がる光景は地獄でしかなくて。辺りに飛び散るモノが事実だということを示していて。
髄液や、血液や、人間の身体に流れるそれらが飛び散って、ぐちゃぐちゃに、なって。ヒトの身体の組織も、同じようにぐちゃぐちゃに、なって。
"ヒトだったモノ"が眼前に、広がっている。
ただの肉の塊になって。物言わぬ塊になって。
霊子の粒となって輝きながら消えていく。
それはとても綺麗な、美しい輝きを放っていた、けれど。それ故、とてもとても残酷で。
さっきまで触れていた温もりが、存在が、呆気なく細かな輝く粒となって消えていく。
真っ赤な深紅の液体は、じわじわ着物を汚していく。さっきまで身体の中を循環していた真っ赤なそれが、鮮血となって、飛沫となって。流れ出して、いく。
遠い遠い、過去と未来の光景が、重なる。
それは、これからの未来と、遠い遠い過去からの………警告だったの?
prev * 1/22 * next
栞を挟む
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -