好き、すき。すごく好きなの。ねえ胸が苦しいよ、息がうまく出来ない。すごく、すごく君のことが好きみたいだ。
わたし、おかしいのかな。
普通はさ、他の女の子と話しているのが嫌って言うじゃない。けどね男の子でも嫌、私以外の人と仲良くするのが嫌なの。そんなの見たくない。苛々する、腹の奥の奥にいるぐちゃぐちゃとした感情に心と頭が支配されるような感覚に囚われてしまう。
目眩がする。世界がぐにゃりと静かに歪んだ。
こんなの知らない。知らないよ・・・
私はこんな感情なんて知りたくなかった気付かなければ良かった、自分がこんなものに支配されるなんて思ってもいなかった。
うまく、自分をコントロールできない。
欲しいよあの人が。あの人の全部どうやったら私だけのものになるのかな。どうすれば、私だけを見てくれるのかな。
手を伸ばすと遠ざかってしまうようでこわい。始まりを迎えることはつまり終わりに向かって進むことでもあるから。
もう永遠なんていう幻想を抱いていた私は何処か遠くへ行ってしまった。永遠なものなんてない、世の中は無常なのだと、それが現実なのだと知ったのはいつだっただろうか。
『世界は色褪せてしまった』
地上を照りつける日差しに立ち向かう向日葵を見てそう思った夏の日をよく覚えている。
きっとあの瞬間から急速に私の世界は死へ向かったのだ。
けれども無いと知りながらも追い求めようとする人間は眩しい。羨ましいよ、私にそんな勇気があれば今こんなに辛い思いをしていないのだろうか。
結局また今日もこんな思いを抱え潜めたまま何も知らなかった頃のように振る舞うのだ。
月子″
私はそっと涙を流した。