それは、いつものようにじーちゃんにカードでボロ負けした、ある日のデュエル後のことだった。



「そうじゃ、遊理」

「なーにぃ…?」

「アメリカに行ってみんか」


















………………………………。















「…ほわっつ?」
















と、いうことで空港なう。
…いやいや「なう」じゃねーよどうなってんのこれ!!!?



「ホッホー、こりゃあすごい人じゃのう」

「いやいやちょっと待てじーちゃんコレどういうこと!!?」



スーツケースをガラガラと引っ張りながら呑気に周りを見回すじーちゃん。
今この場所には、僕とじーちゃんの二人だけだ。いやいやそれも何で!?いきなりすぎてめっちゃ混乱してんだけど!!?



「今日このアメリカでのう…デュエルモンスターズのジュニアカップが開かれるんじゃよ」

「デュエルモンスターズの…?」



…って、ちょっと待て。何だか嫌な予感がしてきたぞ。じーちゃんは相変わらずほけほけと笑っていたが、反対に僕の額には嫌な汗が滲んでくる。



「遊理、ちょっと出場して優勝して来い」

「無理難題―――――!!!!!!」



ええええええちょっと待っておかしくない!?何このわけわかんない展開!!何この超展開!!いきなりすぎてついていけない!!
しかも優勝!?出場して来いだけじゃなくて優勝して来い!!?孫にいきなり何言ってんだこの耄碌じじい!!ボケたか?ついにボケたか!!?



「てかなんでいきなり大会!?しかもアメリカ!外国!せめて最初は町内とか!」

「デュエルモンスターズは、まだまだ日本ではマイナーなカードゲームじゃからのう。大会なんてまず無いじゃろうな」

「だからっていきなりアメリカとかおかしくない!?」

「さーて、じゃあホテルに行くとするかの」

「話を聞けよおおおおおおおおお!!!!」



なんつーマイペース。いや自分勝手。
僕の全力の突っ込みもさらりと流して、じーちゃんはガラガラとスーツケースを引っ張っていってしまう。
僕は指先が冷えていくのを感じた。おかしいだろ、大会って。確かにデュエルは好きだけど、そんな大会に出られるだけの実力を今の僕が持っているわけが無い!だって今まで全戦全敗だよ!?



「じーちゃんにすら一回も勝ったこと無いのに、大会で優勝なんて出来るわけが無いだろ――――!!?」

「………それはどうかの?」

「へ?」



無理だ無理だと喚く僕に、じーちゃんはニヤリとニヒルな笑みを見せてきた。







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