ロリーダーがゆく! | ナノ



01



生まれ変わったら巨大生物蔓延る世界で幼女になってました。どうも、暁チトセと申します。もともとは普通に女子高生やってました。

な…何を言っているかわからないって?実は私も良くわからないんだ……。

夏休みが目前に迫った7月のある日。狩りゲーが好きな私は、バン○ムさんの代表的な狩りゲー、『ゴッドイーター』通称・神喰いを、帰り道を歩きながらプレイしていたら、信号無視して突っ込んできたトラックに撥ねられあっけなく息を引き取ったという、交通事故が増えてきた最近では嫌なことに珍しくも無い人生の終わり方をしてしまった。
そして気がついたら、生まれたての赤ん坊になっていたというわけだ。なるほど、わからん。
心残りがあるとすれば、もうすぐゴッドイーター2の最新情報が配信されてたはずなのにとか、そのくらい。

……そして、その心残りのせいなのか。

新たに生まれた世界には、人類の天敵と称される荒ぶる神―――アラガミが、存在していた。


どういうことなの……。


しかも生まれは間違いなく日本人なのに、何故か髪が藤色で瞳が碧だった。しかもすげえ美少女だった。まだ幼いけどこれ、絶対将来有望だろというくらい愛らしかった。


わけがわからないよ…。


……その謎に気づいたのは、フェンリルから一通の手紙が届いたときだった。


手紙の内容は、まあ色々と難しいことが書いてあったけれど、要約したら「お嬢さん、適合候補者に選ばれたのでゴッドイーターになってください」とのこと。


おい、私まだ幼女だぞ。


思わず物言わぬ手紙にツッコミを入れてしまったのは仕方が無い。
けれど、フェンリルからの指令は半強制のようなもので。仕方が無いかと若干腑に落ちない思いをしながらも、大人しく荷物をまとめていたそのとき、気づいた。

……この髪と目の色、私がメイキングしたゴッドイーターの主人公の色じゃん。
こんなことなら普通に黒髪か茶髪にしとけばよかったなー。日本人に見えねーよ。



そんなことを考えながら、フェンリル極東支部―――通称『アナグラ』を訪れ、無事適合者試験をクリアした私。ちなみに腕輪は半端なく痛かったです。腕食いちぎられるかと思った………。まだ若干じくじくするや。



「どうかしたの?チトセ」

「えっ?」

「なんかじーっと腕輪見て……あ、もしかして痛む?」



そう言って、心配そうに顔を覗き込んでくるのは、ゲームでは主人公のアナグラ初の友人である藤木コウタ。
幼女なのに新型とか言われるから、時間軸がイマイチわかりづらいなとか思ってたけど、…………モロ原作時間軸かよ!てか極東支部初の新型とか、完全に私主人公ポジにいるわけですねわかりま………や、わかんねーよ!理解追いつかねーよ!



「んー。だいじょぶ。こーたは?だいじょぶ?」

「オレは平気だよ!ありがとな、心配してくれて」



にっこり笑って、コウタは私の頭を撫でる。…なんか、初めて会ったときからコウタがやたら過保護だ。ツバキ教官から私が新型って聞かされたときも、絶句してたし。
私みたいな幼女が戦線に立つのが心配か。そうですよね、私も心配です。
コウタは人もいいし、今の私とそう変わらない年代の妹がいるはずだったから、その心配もひとしおだろう。心中お察しします。私のことだけど。



「あ、ねぇこーた」

「うん?」



くん、とコウタと繋いだ手を引き、彼の意識をこちらに向ける。

ちなみに舌ったらずなのは不本意だ。別に幼女らしさを出したかったからとかではない。断じて違う。絶対違う。



「サカキはかせのラボってどこだろーね」

「……………さぁ?」



私の問いに、コウタが間をたっぷり開けて首をかしげた。
先程ツバキ教官と別れてから、私たちは二人でアナグラの中を探索していた。途中、オペレーターの竹田ヒバリちゃん大好き爽やかお兄さんの大森タツミさんと会ったり、スナイパーでカッコいいお姉さんのジーナ・ディキンソンと遭遇したりした。皆さんとても良い人ですが、私を見る度に目を丸くするので実はちょっと居心地悪かったり。
まぁ、しょうがないのはわかってるんだけどねー…。

っと、そんなことよりラボだラボ。



「んー…今まで一通り見て回ったけど、それらしい部屋なんかなかったよなぁ…」



コウタが顎に手を当てて考えている。
当たり前だけど、実際のアナグラの中ってものすごく広かった。ゲームやってた時よりマップは断然広かった。ツバキ教官と別れてから、二人でアナグラの中を探索していたけど、…これ絶対迷子になる。二時間かけても全部回りきれないとか、どんだけよ。
いや、幼女の歩幅のせいなのかもしれんけど、でもまぁとにかく広い。

でも、そんなかでラボらしい部屋って無かったんだよなー…ラボってどこにあったっけ?なんか医務室の近くにあったって言う記憶はうっすら残ってるんだけど………。



「あっ、あの!」

「ん?」



二人して首をかしげていると、後ろから高い声が聞こえた。
くるっと振り向くと、そこにいたのはコウタより少し年上な女の子。
ボブの桃色の髪の一部を三つ編みに結って、カチューシャのように巻いている。
ミリタリー生地のワンピースが良く似合っていた。女の子は僅かに頬を紅潮させ、もじもじとしていたが、やがて意を決したように口を開く。



「あの…今日入った新人さんって、貴方のことですかっ!?」