夢2 | ナノ


  everlasting







*未来捏造










まどろむ朝に冷たいシーツの感触が心地良い。微かに鼻を擽る香りが胸に、ゆっくりと落ちていく。
そっとナマエを起こさないようにベッドを抜け出してキッチンへ。コーヒーメーカーに豆をセットして、椅子に腰掛ける。またちらりと視線を移せばそこにはアホ面した寝顔が在って。それに妙に安心感を覚えるようになったのはいつの頃か。
喧嘩ばかりしていた俺達がこんなにも穏やかになるなんて、な。あの頃の俺に言えば嘘だろ?と怒るに違いない、なんて想像して小さく笑った。

「…ナマエ、起きろ」
「――う〜…あと、ごふん」
「はぁ…ったくしょうがねぇな」

頭を撫でていた手に擦り寄って甘える仕草に心は正直なようで。少しだけ早くなった鼓動を誤魔化すようにポンポンと軽く頭を撫で流れるような髪に指を通していく。指先から伝わる甘い感触に自分でも頬が緩むのがわかる。また夢の中へ落ちていったナマエのこめかみにキスを一つ。
そろりとキッチンへ戻り頃合いのコーヒーを二つ。色違いのマグカップに、一つはブラック、一つはミルクたっぷり。合わせて簡単な朝食を用意していればもぞりと布団から声が上がる。

「ん…んー、きよ?」
「あぁ。飯できてんぞ」
「んー…ねむい」
「早くしねぇと飯冷めるだろうが」
「うん、うん…」
「こら、寝ようとすんな」

ベッド上に座り込んだままのナマエの額に軽く小突けば、うっと痛がりつつもその表情は緩みきっていて。気持ち悪いとぼそり言えば失礼なっと拗ねた声が返ってきて。

「何でそんなにニヤニヤしてんだよ」
「…だってさ、清志とこうして朝からずっと一緒に居られて。すっごく幸せだなぁって」

えへへと髪をいじる姿は照れた時のもので。声にならない愛しさが胸に広がって俺はたまらなく顔を右手で覆う。
永遠なんて信じていないし、神様に縋ろうとは思わねぇが…こんなにも穏やかで愛しい日々が続いて欲しいと願うくらいは良いだろ。

「……俺もだよ」
「えっ清志なんて―」
「―何にも言ってねぇよ。早く飯食うぞ」

赤くなりつつある頬を悟られないようにキッチンへ急ごうとすれば、後ろから小さく漏れる笑い声に気づき俺は振り向きざまにそれを優しく塞いだ。





【everlasting】

君と紡ぐ永遠の日々








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