これからも、ずっと、きっと
*未来捏造
俺の瞳にはいつだって
お前しか映ってないから
これからも、この小さく優しい手を
ずっと守って生きたいと強く思う
夕日の光があたりを包み込み、穏やかな時間が流れる午後五時。買い物袋をぶら下げて鼻歌を歌う後姿を捉えて思わず笑ってしまう。変らねぇな、と零れた言葉は風にかき消された。
「よ、お疲れ!」
「和っ早かったね〜」
「まぁ…たまにはな、っと今日ちょっと買いすぎじゃね?」
「そうかな?だって、」
「安かったんだもーん、だろ?」
「こらー真似しないでよ!」
「ちょっ痛いってー」
暴力はんたーいっと両手をあげれば、もう真似しない?と頬を膨らまして聞いてくる姿に噴出しそうになるのを必死で押さえ、もうしませんと敬礼ポーズをとる。もう、和は調子良いんだからと笑う君が視界いっぱいに広がる。そして、そのままどちらからともなく手を繋ぎ歩き出す。そして、つらつらと今日あったことを喋りながら、そっと君の横顔を盗み見る。
―あぁ、やっぱ好きだわ
学生の時のような胸を弾ませることは少なくなったけれど、この穏やかな時間が愛しくて手放したくないと思うようになった。だから、ずっと、この手は君だけのために。
「なぁ、ナマエ」
「なーにー?」
「結婚しよ」
「うー………う、ん?」
ぎゅっと繋がっていた左手が引っ張られて、後ろへぶっ倒れそうになるのを耐える。ナイス俺の運動神経まだ死んでない。
「―っなっえ、ホント、に?」
「本当。俺はレストランとか堅苦しいの苦手だし…こんな場所だけどさ、」
ポケットに忍ばせておいたそれを、そっと左手にはめれば更に瞳は大きく見開かれた。
「ナマエ、俺のお嫁さんになってください」
「…和、」
「そんでさ、じいちゃんばあちゃんになってもこうやって買い物行こうな」
「……うぅ、かず―っかずな、り」
飛び込んできた愛しい人を俺は壊さないように、けれど強く抱きしめた
【これからも、ずっと、きっと】
君と二人で未来を歩いていく