夢2 | ナノ


  緑間







昼休みのチャイムと共に走る足音が響く。ドアを出た教師達から口々に走るな!と注意されている声。それが、段々と大きくなることに俺は溜息をつかざるをえなかった。

「しんたろーくーん!あーそびーま、」
「遊ばない。今から昼だろう」
「うん、そうなんだけど!でもっその前に」

にっこりと人好きのする、しかし俺にとっては嫌な予感でしかない笑顔で。その言葉をはっきりと告げてくる。

「とりっくおあとりーと!」
「は?」
「しんたろーくん持ってないでしょ?」
「菓子か?普段食べないから持ってないに決まって―」
「なら、悪戯けってーい!」
「何を―」

するのだよと続くはずの言葉は柔らかいそれに塞がれ叶わなかった。ぐいっと首から引き寄せられ中途半端な姿勢。勢い良く離れればしてやったりと笑うナマエ。

「じゃあ先に屋上行ってるね」

項垂れる俺を置いてナマエは駆けて行った。その足音を聞きつつ、未だにおさまらない頬の熱を隠すように掌で覆う。その一部始終を見ていて笑い転げている高尾を殴って、俺はきっとゆっくりと屋上へ向かうのだろう。








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