宮地
「宮地せんぱーい」
ドアからひょこりと顔を出すのは後輩のナマエ。木村に一言断りドアに近づけば、にこにこといつにも増して笑顔な姿。
「どうした?休み時間に珍しいな」
「えっとですね、その…」
「何だ?言いたいことがあるなら―」
「とりっくおあとりーと!です先輩っ」
ぎゅっと両手を握り締め放たれた言葉に俺は思わず噴出した。どうして笑うんですかと喚いているがとりあえずナマエの小さな頭を撫でる。そうすれば、ほらすぐにまた俺に笑いかけてくるから。
「わりぃ、わりぃ。ほら、これな」
「えっ…なんでお菓子」
「朝練で高尾がくれたんだよ。だからこれで悪戯なしな」
えぇーとぷくりと頬を膨らました姿は可愛いだけ。それがどんなに俺を煽るかって知らないだろ?
「…あー、ナマエ」
「何ですか?先輩」
「Trick or Treat」
「えっ?ちょっと私お菓子なんて―」
「知ってる―」
だから、大人しく俺に悪戯されてろ
かぷりと震える小さな唇に噛み付いた