夢2 | ナノ


  Heartful Days





*未来捏造










「……テツヤさん」
「はい、何ですかナマエさん」
「動きにくいんですけど」
「大丈夫です。ナマエさんなら出来ます」

いやいや出来ないから抵抗してるんだけど。そう思いつつも、それは言葉にはならずに溜息として吐き出された。そんな私の様子をにこやかな瞳で見つめているのは彼氏のテツヤ。しかし、その腕は後ろから私をすっぽりと覆い、お腹の前でがっちりホールドされている。
お家にお泊りした翌朝はだいたいこうなる。だから、気を使ってテツヤを起こさないように早めにベッドを抜け出しても30分もしなうちにこの有様だ。

「んー、卵焼きと鮭と。後は何か食べたいものある?」
「何でも。ナマエさんの料理はどれも美味しいですから」
「……ありがと」

真っ直ぐなテツヤの言葉は何度言われても照れてしまう。熱くなる頬を誤魔化そうと動き出せば、耳元でくすりと小さく笑い声。

「ナマエさん、耳が赤いです」
「わかってて聞かないでよ」
「ボクにはどうして赤くなったかわかりませんよ」

笑いながら言われても全然説得力が欠けることに、きっと気づいてる。けれど、あくまで言わないのが彼らしい。変らず回された腕に指先を添えればゆっくりと指先を掴まれ小さな温もりが触れる。

「…こんなに意地悪だなんて、付き合うまで知らなかった」
「そうですか?ボクは思ったことを言ってるだけですよ」

だから、こうしてナマエさんに想いを込めて触れています。楽しそうな、けれどからかいを含んだ声が耳に落とされてそこにも唇の感触。ふわっとまた熱が集まるのがわかる。あぁ、どうしてこんなにも赤面症なの私―!

「すぐに赤くなるナマエさんも好きです」
「…私も」
「ちゃんと言って下さい。そうすれば、しばらくは離れていますから」
「もう…」

彼は私の扱いを良く知っている。卵焼きを作るのに、さすがにテツヤの両腕が邪魔になるであろうことを。くるりと反転し彼を見上げれば少しだけ驚いた顔。爪先立ちで一瞬、私の想いを込めて。



【Heartful Days】

テツヤ、だいすき
今度は貴方が赤くなる番








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