夢2 | ナノ


  innocent heart







好きな気持ちは誰にも負けないって
胸をはって言えるのに
その百分の一も君に伝わってない気がして

いつも私は貴方だけしか見てないのに
ねぇ、気づいて
私だけが好きだって言ってよ










今日は久しぶりのオフで
前々から会おうねって約束して
やっと今日を迎えられたのに

「――あ、ごめんっす。電話」
「…あー…うん、大丈夫だよ」

前のデートで見損ねた映画のDVDを借りて見てるのに。さっきから涼太の携帯は忙しい。最初はメールだったのに今度は電話…。そりゃ涼太には面白くない内容の映画かもしれない。でも見たいって言ってたよね?部屋を出て行った背中を見送りながら、ぎゅっと膝を抱えてソファの背に埋もれる。ちっとも内容は入ってこないし涼太のことばかり頭がいっぱいになる。

「…はぁ、」

今日何回目かも数えたくないほどの溜息が落ちていく。電話は思ったより長いようで、私は停止ボタンを押して気分を変えようとキッチンへ向かった。

「この紅茶、涼太がくれたんだよね〜」

私が紅茶好きなの言った事ないのに。ましてや林檎フレーバーがお気に入りなんて言ったことないはずなのに。

(ナマエっち、これ!)
(えっ?今日、誕生日じゃないよ?)
(俺があげたいって思ったから問題ないっす!)

また今度一緒に飲もう!と鮮やかな笑顔に惚れ直したのは内緒


「あれから、もう半年かぁ」

ぶくぶくと沸騰したお湯をそっと茶器へ。これが出来上がる頃には涼太も戻ってくるかなと思いつつ、ふと大きな声が聞こえた気がしてドアへ視線をやる。
少し開いたそこからもれ聞こえるのは勿論涼太のもの。電話の相手と何だか言い争っている声に聞こえて、よくないと思いつつもそっと近寄れば慌てたような声が飛び込んできた。

「そんな簡単じゃないっすよ!」
「…言えたら、苦労しないっす…」
「だから相談してるんじゃないっすか〜もうちゃんと聞いてるっすか?」

涼太が悩み事?テストで赤点とろうがへらりと笑っていたあの涼太が?と言うかその悩み事は私には言えない事なの…か。
またポツンと心に黒い染みが広がるのがわかる。気分変えるための紅茶が美味しくなくなっちゃう、と溢れ出そうになる涙を食いしばっていると、ぼそりと聞こえた声に私はまた泣きたくなった。



「黒子っちホントに聞く気あるんすか?だって……ナマエっちを前にして、すっすっ好きだなんて……俺、言えないっすよ……何でって?恥ずかしいに決まってるじゃないっすか!」

黒子っちーと大きく喚く声が聞こえて電話が切られたことを覚る。段々と近づく足音に頭は動けと命令してるのに全然動いてくれない。けれど、それよりも今は

「ナマエっち、お待たっ―」
「涼太…!」





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