緑間
「真ちゃーん!早くっ早く!」
「ナマエっ待つのだよっ」
俺は何をしているのだ…!
先程から浴衣を着て歩きにくいはずの彼女は、この人混みの中すすすと屋台の食べ物を買い漁り食している。そのナマエに追いつくことで精一杯な俺は開始20分ですでに疲れている。
「はい、真ちゃん!」
「あっ…あぁ、」
差し出された綿飴をほお張れば嬉しそうな笑顔を見せるナマエ。そんな様子に悪くないと感じてしまう俺に苦笑しつつ手を差し伸べた。
「…勝手に行くな。はぐれたら、どうするのだよ」
「大丈夫〜」
「何を根拠に―」
「真ちゃんが必ず見つけてくれるもん!」
今年も思い知る
愛しい彼女にはきっと俺は勝てないのだろう
繋いだ手から伝わるぬくもりに寄せて
俺たちはまたゆっくりと歩き出した